2015年6月23日火曜日

K - 12 フィリピン教育改革の現場


フィリピンでは今、初〜中等教育がかなり大きく変わりつつあります。以前は、小学校が6年制、高校(フィリピンでは中学という呼称がない)が4年制の合計10年。日本を始めとする多くの国では高校卒業までは12年間。それに比べて2年のギャップがあり、外資系の会社への就職や海外の大学への入学に際して、かなりの不利益が生じていたそうです。

公立校は高校までは無料のフィリピン。貧困層の人たちにすれば、少しでも早く学校を終わらせて、家計を助けるために働いてほしいという切実な背景があるのは分かりますが、12年制に比べて学力が不足するのは否めません。

そういう事情で高校が6年制に延長されることになり、遂に12年制導入。私たちが移住する2年前から新学制「K - 12」(K to Twelve)が既に始まっています。
Kは幼稚園(Kindergarten)のことで、12年制+幼稚園にも通わせましょうというキャンペーン。3年後にはフィリピン初の12年生が卒業するとのこと。

しかし高校まで卒業できるのは、全体の7割程度とも言われます。シライで実際に聞いた話では、徒歩では学校に通えない場所に住んでいるのに、往復50円程度のトライシクル(輪タク)のお金がなくて通学を断念。さらに根本的な問題として、子供を学校に通わせないといけないという意識が希薄な親がいること。

きれいにアイロン当てた制服を着て、ピカピカの革靴を履かせてもらった子供がいる小学校の裏手で、同じ年頃の子供が物乞いをしているのが、残念ながらフィリピンの現実。また学校の先生の給与が安すぎるのも大問題。延長した分の教員数を確保できるのかどうか、かなり疑問を感じます。実際、去年息子の担任の教師が同じ学年中に2回も変わりました。少しでも良い待遇の他校へ転職してしまったとのこと。

教育期間の延長も大事なことですが、それ以上に難問が山積しているのがフィリピンの教育の現場です。


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