2015年8月17日月曜日

フィリピンのための祈り


3週間ぐらい前から、フィリピンの教会では、日曜日のミサの最後に特別なお祈りを唱えるようになりました。「オラショ・インペラタ(Oration Imperata)」というタイトルで、以下のような内容。グーグルと家内の助けで私が和訳しましたので、多少の意訳・誤訳はお許しください。

天と地、空と海を創られた全能の主よ
今、私たちの故郷フィリピンの西の海は緊張に満ちています
フィリピン諸島のあなたの子供たちを見守ってください

この島々と海の平和を祈ります
正義と人権尊重によって、この問題が解決されることを祈ります
この地の海洋生物とその生息地に、被害が及ばないことを祈ります
私たちの島々と海を防衛する同胞たちが、天災と人災から守られるよう祈ります

私たちにお恵みを与えてくださる、素晴らしい創造主である愛する神よ
勇気と対話の精神でこの危機を解決するために、
私たちの指導者たちに知恵と理解の精霊を送ってください

私たちがいつも、あなたの言葉に忠実に
あなたの意志に従順にいられますようお助けください

この祈りを主イエス・キリストを通してお捧げします
アーメン

原文はこちら

ここで言う「島々と海」とは、中国など周辺諸国との間で領有権が争われ、一触即発の状態になっているスプラトリー(南沙)諸島とその周辺海域のこと。日本人の感覚からすると、ここまで政治的・軍事的な事柄は、神さまへの祈りに馴染まないでしょう。

オラショ・インペラタとは、ローマ時代からある祈りの形式だそうで、災害や飢饉などの際に大司教(日本では東京・大阪・長崎が大司教区)の権限で制定される公式な祈り。日本語に訳すと「義務としての祈り」という意味になるのか? 「祈り」と「義務」こちらも日本語ではあまり馴染まない言葉同士。最近の日本だと「東日本大震災被災者のための祈り」がこれに相当すると思われます。

以前、ニューヨークの聖パトリック教会でミサに与った時に、これから戦地に赴く(時期的にはイラクへの派兵?)20名ほどの兵士たちが、軍服で司祭の祝福を受けていたのを見たことがあります。兵士の家族や友人からすれば、その無事を祈る気持ちは当然なんですが、この時も何とも言えない違和感を持ち、はたと考え込んでしまいました。

もし、日本がなんらかの紛争の当事者になり、日本の兵士や民間人が戦闘に従事したり巻き込まれたりする事態に至った場合、私はどんな祈りを捧げたらいいのでしょうか? また日本のカトリックの代表者は、どういう立場を取るのでしょう? 最近の日本での出来事を見ていると、真剣に考えないといけなくなる可能性がないとは言えません。



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