2017年8月4日金曜日

シャワールーム・リノベ大作戦


今年の3月、そろそろ自宅のリノベーションを考えているという投稿をしました。それから5ヶ月。なかなか大工さんや職人さんと連絡が取れず、のびのびになっていた計画。やっと新築時の大工さんの一人、便利屋のダリ(フランスの画家ではない)が来てくれました。

フィリピンではSIMフリーの安い携帯電話が出回っていて、SIMカードも100ペソ(約220円)も出せば、いくらでも新しいものが購入可能。つまり電話番号の変更が簡単。だからと言って番号変えなくてもいいのに、半年も経つと誰の電話もつながらなくなってしまいます。

ダリの場合は、末っ子がまだ小学生。家内がその子が通う学校まで行って「パパに私の家に来るように、お願いして」と伝言したのでした。その数日後、やっと顔を見せたダリ。早速シャワールームのリノベーションを頼むと、義理のお兄さんが配管工なんだそうで、次の週末、朝から工事を始めますとのこと。

竣工後たった3年の我が家。リノベが必要なのは、老朽化したわけではなく施工ミス。シャワーブースの取り付け方が悪く、半年ほど前からフロアとの間からジワジワと漏水。その上、既製品のブース自体もあまり品質がよくなくて、いきなり把手はもげるし、樹脂製の床面は傾斜がついていなくて、排水がちゃんとできない。カビも臭いもひどいので、取っ払ってしまうことに。

そして洗面台。モノは悪くないけれど、奥を高く手前を低くするところを、逆にしてくれたもんだから、手や顔を洗って跳ね返った水が、全部奥に溜まり、左右から水漏れ。これまたカビやシミの原因に。


写真だときれいに見えるんですけどねぇ

ようやく日取りが決まったので、材料購入のため、隣のタリサイ市に最近オープンしたホームセンターへ。フィリピンで家を建てたり補修したりする場合、建材は施主自らが買い付けるのは珍しくない。大工さんに任せてしまうと、値段や品質の点で、まず思い通りの品物は入手できません。


タリサイ市にできたウィルコン

買ったのは、タイル数枚と角につけるコーナー・モール、シャワーカーテンとカーテン用のバー、排水口の金具。たったこれだけですが、完成のイメージと大雑把な工法の知識が頭にないと、何を買ったらいいのか分からない。自分の家を建てた経験がモノを言います。これが、フィリピンでの住宅建設の難しいところ。

いよいよ工事当日。約束の朝9時ちょうどに、義兄の配管工、兼左官屋さんのジュンを伴ってダリがやって来ました。初対面のジュンは、40歳過ぎぐらい。スリムでなかなかの渋い男前。英語もちゃんと理解できるし、仕事ぶりも悪くありません。これは頼りになりそう。私が用意した材料を見て、コーナー・モールまで揃っていることに満足そう。「お前さん、分かってるやんけ」と言いたげでした。


昼食中のジュン(左)とダリ(右)

工事は思ったより早く、翌日曜日の午前中には完了。シャワーブースは撤去され、畳1枚分程度の広い新シャワーブースが出来上がりました。洗面台も再設置。これなら排水もスムーズだし、カビや悪臭に悩まされることもありません。最初からこうしておけば良かった。



さて、今回の教訓。フィリピンで大工さんに仕事を依頼する場合、施主が具体的な要望をどこまで明確にイメージしているかで、仕事の良否の9割は決まってしまいます。大工さんの腕がよくて、丸投げ仕事で上手くいくのは日本でしか考えられない。

実はこれ、私がかつて所属していたデザインの世界でも同じ。仕事を頼む側(大抵はデザイナーではない経営者や商品企画担当者)が、最終完成形のイメージが希薄だったり皆無だったりすると、ロクな結果にならない。どんなアイデアを出しても、決定者に判断基準なしでは、いつまでも決まらないし、第一どんなアイデアを出すべきなのか不明。

いいデザインの商品を作るには、優秀なデザイナーや設計者の存在だけでなく、経営者や仕事を依頼するクライアントが、デザインの目利きである必要があるということ。有名な例では、スティーブ・ジョブスや本田宗一郎さんのような人たち。デザインとはメーカーの総合力だと言われる所以です。

そこまで偉大な人物を引き合いに出さなくても、フィリピンで住み心地のいい家を手に入れようと思ったら、それなりの熱意と知識、そしてある程度の経験が必須条件。今の私だったら、日本人施主向け建築コンサルタント業ができるかも知れません。誰か仕事くれませんかね? 良心的なお値段で引き受けますよ。


0 件のコメント:

コメントを投稿