2021年7月10日土曜日

南国映画館「閃光のハサウェイ」

コロナ禍のために、当初の公開日が1年近く延期され、さらに直前になっての緊急事態宣言により再延期。今年(2021年)6月11日に、やっと日本の映画館で観られるようになった、ガンダム・シリーズの新作アニメ映画「閃光のハサウェイ」。それから1ヶ月もしない7月1日に、日本以外の全世界で、ネットフリックスから配信が始まりました。

それに合わせた訳ではないけれど、ここネグロス島シライへの光ケーブル敷設に伴い、遅まきながら100Mbpsの正真正銘ブロードバンドになった我が家のネット環境。まるで万全を期したようなタイミングで、配信日を迎えました。(本当に観たのは一週間後ですが。)

いつもなら寝室のテレビで一人で観るんですが、せっかくなので、ジブリを始めとして日本のアニメが好きな、中学生の息子と親子で鑑賞。

40年前のファースト・ガンダム三部作と続編の「逆襲のシャア」まではリアルタイムで熱心に観ていた私ですが、その後は世界規模のファン拡大に背を向けていたのは、少し前に投稿した通り。(イロンゴで語るガンダム

そんな、忘れていた関心に火を付けたのは、新作がフィリピン・ダバオが舞台となるから。知ってる人には当たり前ながら、実は「閃光のハサウェイ」は、ずいぶん前に、ガンダム・シリーズの生みの親である富野由悠季さんが執筆した、小説が原作なんだそうです。

昨今話題のドゥテルテ大統領任期に便乗してわけではなく、おそらく元々ダバオが取り上げられていたんでしょうね。

さて、フィリピンとは無関係のファンの方々には、かなり邪道な動機でも、やっぱり本編ではダバオの描写が一番の注目点。結論から言うと「すごい」の一言。

オープニングから意表を突く、モバイル・スーツではない生身の人間同士の息詰まるようなアクションで、ぐっと物語に引き込んでおいて、満を辞してのダバオのシーン。背景の空や山並みを一瞥しただけで「これはフィリピンだ!」という仕上がり。

この手のご当地ロケ映画で私が覚えているのが、日本で撮影されたジェームス・ボンド映画の「007は二度死ぬ」。昭和42年(1967年)公開で、劇場ではなくテレビで観たのですが、確かに日本人俳優の丹波哲郎さんや若林映子さん、浜美枝さんが準主役級で登場し、当時の東京の風景が、絵葉書っぽく出てきます。

ところが、ボンドを支援する日本の特殊部隊が忍者だったり、ずいぶん無理矢理な設定で、和服姿のボンドと文金高島田の浜美枝さん演ずるキッシー鈴木(すごい名前)が偽装結婚したり。もう突っ込み所満載の、大・勘違い作品。

それに比べると、少なくともフィリピンに8年以上住んでいる私の目から見て、フィリピンの街並みは、綺麗な場所も貧民街も、そして食事シーンのジョリビーと、制服の店員さんに至るまで、再現度が極めて高い。無理に見せてる感じもしない。単に丁寧なロケハンをしただけでなく、フィリピン人スタッフが参加してるんじゃないかと思うぐらい。

主人公のハサウェイが滞在するホテルの豪華さぶりが、かつて私が業務出張で初めてマニラで泊まったホテル、ザ・ペニンシュラを思い出させました。あまりにリアルなので、何百年か先の未来でも、やっぱり貧富の差は今と変わらないのかと溜息が。

さらにマニアックなのは、他の島への移動手段がフェリーなんですよね。これって、住んでないとなかなか気付かない描写。多島国家フィリピンの一般庶民にとっては、飛行機よりもフェリーの方がずっと身近な交通手段。もちろん未来の話なので、乗り場もフェリーもきれいにアップグレードしてはいても、フィリピンの生活実感がこもってます。

トドメが、連邦軍の制服が半袖なこと。それだけでなく登場人物のすべてが、ちゃんと暑そうな演技をしてる。

とまぁ、本筋とは違うところで盛り上がってしまいましたが、全体としても満足できる映画でした。ちょっと残念なのは、これ一本で完結じゃなくて、三部作の第一エピソードだったこと。伏線を張るだけ張って、どうやって回収するのかと思ったら、そのまま放置でエンドロール。

これでは、続きを観ないわけにはいきません。ということで、ガンダム・ファンにもフィリピン・オタクにも、一押しのお勧め作品です。

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