2019年3月14日木曜日

何でも禁止で思考停止


本来有償の電子化されたコミックや映画などが、違法にネット上に投稿されることが問題になっています。これは日本に限ったことではなく、世界的な風潮。日本のアニメや韓国のドラマがフィリピンでも大人気なのは、そのお陰と言ってもいいぐらい。

若いフィリピンの人達に、どうやってアニメを見ているかと尋ねたら、まず百発百中で「ユーチューブで」と答えるでしょう。例えば一昨年、こちらでもヒットした「君の名は。」。フィリピンの映画館で公開されるずっと以前に、英語字幕付きがネットで閲覧できてました。

私はやっぱり、パソコンやスマホの画面でチマチマ観るのは嫌なので、真面目にお金払って映画館に足を運びましたけど、今から思えば、あれだけ評判になっていたのに、バコロドのシネコンではガラ空きだったのは、みんなネットで見ちゃってたからなんでしょうね。

最近では、私ですらテレビ向けの日本アニメは、ネットで見るのが癖になりました。新作、旧作を問わず、ほとんど何でも観られるし、スマホの小さな画面ならば、データ量も少なくて済むので、ほぼストレスなく鑑賞可能。ただし、定量制サービスの1日7GBの制限付きなので、一度にまとめて何本も、というわけにはいきませんが。

ちなみに、国別にフィルターがかけられているようで、お膝下の日本では、ほとんどが閲覧不可になっているようです。

それにしても、ここまでの状況になってしまうと、従来の、コミックや映画をパッケージ化して販売するという、ビジネスモデルそのものを見直す時期でしょう。現に日本でも、CD、書籍、新聞などが売れなくなって久しい。

ところがお役所や業界の偉いさんというのは、これを新しいビジネスチャンスだと考える頭はまったくないようです。判で押したように守りの姿勢で、現状を変えるのはすべて禁止。まぁ、この話は明らかに違法なので、取り締まり自体は、間違った対応ではありません。

ところが、何をトチ狂ったか日本の文化庁。アップロードではなくダウンロードを違法にする法律を作ろうと言い出しました。スクリーンショットもダメというから驚きます。これのどこが狂っているのかは、私のようにネットを活用して創作活動をやっている人なら、説明する必要はないでしょう。本気で遵守したら、恐ろしく不便になること間違いなし。

案の定、一番の被害者であるはずの漫画家の方々から、「誰が頼んだよ、こんなの」との声があがり、幸いにも一旦は沙汰止みになったそうですが、この考え方って、今回に始まったことではない気がします。

真っ先に思い出したのは、公園の禁止事項。ちょっと検索してみたら笑うしかないような内容ばかり。禁煙・火気厳禁、ぐらいは分かるにしても、自転車進入、犬の散歩、スポーツに飲食もダメ。果ては、遊戯に写真撮影も許されないって、何のために公園があるんだか。

それだけなく、学校の校則にある服装や髪型に関する決まり事や、エスカレーターの片側開ける件、個人情報の取り扱いなどなど。とにかく、ちょっとでも面倒な話は、根こそぎ禁止する方向に振れている。これって社会全体が思考停止してますね。これでは自分で考えて判断する能力が、どんどん退化してしまう。

その結果なのか、フィリピンに渡航する日本人の中には、短期の旅行者も長期滞在者も含めて、危険に対する感覚が著しく鈍い人を時々見かけます。カバンの持ち方、道の歩き方といった基本的なことだけでなく、土地・家屋の購入や起業で、大損する日本人が後を絶たないのも、自分の身は自分で守るという意識が、低いからとしか思えません。

ただ、視点を変えると、規則でがんじがらめになっていないフィリピン(特に田舎のネグロス島)では、行動がとても自由。結果に対するリスクを負う覚悟は必要ですが、そもそも普通に生きていれば、人生のすべては「自己責任」。改めて言われるまでもありません。

規則で決まっていなくても、やったらアカんことぐらいは、日本でもフィリピンでも、自分の頭で考えれば分かると思うんですけどね。


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