2019年3月23日土曜日

我が家のメイド、ライラの憂鬱


早いもので、通いメイドのライラおばさんが、我が家で働き始めてから、すでに9ヶ月近くが経過しました。それまでの、10代や20代前半の歴代メイド4人に比べると、最初から仕事は慣れてるし、無断欠勤もない。さすが、クウェートでのOFW(フィリピンからの海外労働者)経験は、伊達ではない。

見た目からはまったく想像できないけれど、お祖父さんが太平洋戦争時の残留日本兵だという日系3世。22歳と13歳の二人の息子さんがいて、その父である元夫とは別居中。なかなか波乱に富んだ人生を送ってきた44歳。

下の子と同い歳ということもあり、私の息子がやっぱり可愛いらしく、学校への弁当の配達やお迎えは、ちょっと時間より早く行って、同業のヤヤたちと「雇い主の子供自慢」をやっているそうです。

また、当初は食わず嫌いで、私の作った日本食を敬して遠ざける、みたいな感じだったのが、最近では、カレーやら素麺など自分から食べたいと言うようになりました。特に餃子はずいぶん気に入って、これは商売になりますよ、と太鼓判。

とまぁ、だいたい機嫌良く、毎日の仕事をこなしているライラなんですが、ここ最近は、ちょっと憂鬱なことが続いているみたい。

もう1ヶ月以上、ほとんど雨が降らず、連日乾燥した晴天が続くネグロス島。今月半ばには、ミンダナオに上陸した熱帯低気圧の影響で、数日曇り空で、一晩だけかなり激しい雨があった以外には、カラカラ陽気。

案の定ライラは、咳やくしゃみが止まらない。まるで日本の花粉症みたいなことに。実はネグロスでも、数は少ないものの、サトウキビの焼畑から出る粉塵にアレルギー症状を起こす人がいて、どうやらライラもその一人。見ていて気の毒になります。

それに加えて、家族内でのトラブルも。
我が家にも何度か、連れて来たことがある下の子供。この子が結構やんちゃ坊主で、学校から度々呼び出しを食らって、その度にライラ・ママは仕事を早引き。教室でクラスメートと喧嘩したとか、成績が良くないとか。

それだけでなく、上の兄ちゃんが大人なのに問題児。彼は、シライから車で1時間ほどの場所にあるバゴという町で、叔母さん(ライラの姉妹)と同居しています。商船大学を卒業後、船員になるテストに失敗。別の学校に通っている...はずが、叔母さんにも内緒で学校に行かず、遊び呆けていたことが発覚。

喜怒哀楽をストレートに表に出すライラおばさんは、家内に「あの、バカ息子が!」と涙ながらに語ってました。

この人を見ていると、つい思い出してしまうのが、昔、上方落語家の笑福亭仁鶴さんが歌った「おばちゃんのブルース」。若い人は、ひょっとすると仁鶴さんの名前も知らないかも知れませんね。

この歌は、仁鶴さんのギャグを元にした「どんなんかなぁ」のB面に収録された、ちょっとしみじみする歌。ビルの清掃婦として働く、大阪のおばちゃんの独白というスタイルで、一人息子を自慢の種に、毎日黙々と働く女性の半生を綴ります。これ、なかなかいい歌なんですよ。

その歌詞の中に、就職なのか結婚なのか、意見の衝突があって、一人息子がおばちゃんから離れていってしまう、という部分があります。それが、家の床をモップで掃除しているライラの姿と、重なって仕方がありません。

40代の半ばと言うと、日本でもフィリピンでも、何かと気苦労が重なる年齢なんでしょうか?


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