2019年10月22日火曜日

パンの本質



また、ケッタイなタイトルと思われたかも知れません。これ、最近見つけたフィリピン製パンのパッケージに書かれていたもの。名称らしきものが三行に並んでいて、一番上に「PANMOTO」、下に「ESSENCE OF BREAD」、そして真ん中にあるのが「パンの本質」。そのまんま日本語で印刷してあります。

日本で育って、母語を日本語とする人ならば、商品ブランドにしては何か変だと感じる微妙な名前。ひょっとしてと思って、グーグル翻訳で、ESSENCE OF BREADと打ち込んだら、案の定、「パンの本質」と出てきました。しかも書体まで同じ。


おそらく日本人、少なくともネイティブの日本語スピーカーは、企画やネーミングには加わっていないと推測されます。こういうのを見ると、脊髄反射のレベルで「メイド・イン・チャイナ」と断定する慌て者が出てきそう。

シライの隣街、西ネグロスの州都バコロドの大通りには、少し前からデッカい広告が出ていて、へぇ〜、また妙な名前を付けたなぁと思ってました。それが先日、たまたま買い物に出かけた近所のガイサノ(ショッピングモール)のスーパーで、商品棚に並んでいたので、物は試しと一斤購入。

別に他の食パンと比べて高いわけでもなく、トーストにして食べてみても、ごく普通の味。パッケージだけ、ちょっと奇を衒ったようです。ちなみに日本語の「パン」は、フィリピンでも、そのままで通じます。スペイン語から来ているとのこと。

電気製品では、この国では今も信じられている「日本製神話」の影響か、何の関係も意味もなく日本語っぽい名前や、日本メーカーブランドをちょっとだけ変えたものが多いフィリピン。お客さんもバカではないので、生産地が日本ではないことを知っています。

結局、日本でもよくあるマーケティング戦略で、名前だけでも外国風にすると、何となく格好良く感じるから。これに関しては、決してフィリピン人を笑えません。

およそ20年前、フィリピン人家内の来日時、最初に「?」となったのが、私が借りていた賃貸マンション。なぜかスペイン語で「Casa Fiesta」。本当はカーサと発音するところを、カタカナで「カサ・フィエスタ」となっていました。直訳するとパーティ・ハウス。フィリピノ語でフィエスタと言えば、お祭りのこと。

次に引っ越した横浜市都筑区では「リンデンハイム・仲町台」「Linden Heim」とはドイツ語でリンデン(ドイツの地名?)の家という意味。なぜここでドイツ語?

さらに次が「エスポワール・南茨木」。今度はフランス語の Espoir (希望)。4軒目がようやく「鳥飼中央ビル」で、ポエムな世界から脱却。考えてみたら、ただのアパートをマンション Mansion (邸宅)と呼ぶのが、一番のポエムかも。

ということで、外国の人たちから、日本風の名前や日本的な発音、平仮名や漢字が、憧れを持って受け止められていると思えば、ことさらそれを囃し立てたり怒ったりするのも、見当違い。日本人がロクに知りもしないのに、ヨーロッパの言葉を垢抜けていると感じるのと同様。

最近のフィリピンの若者の間では、ハングルを印刷したTシャツが幅を利かせてたりもします。フェイスブックで、韓流スターの写真をプロフィールにしてる人も多い。多少不自然でも、日本語を使ってくれるうちが華、ということでしょうね。


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