2020年7月2日木曜日

コロナで覚える英単語


我ながら不謹慎なタイトルだと思いますけど、もう笑い飛ばすしか他に方法がないというぐらい、閉塞感で息が詰まりそうな最近。コロナ発生元の中国だけでなく、日本もフィリピンも、どうやら感染の第二波が来たようです。

マニラ首都圏は相変わらずのようですが、今ヤバいのはセブ周辺。一旦は緩和されたと思ったら、一段深刻な検疫体制に逆戻り。それに呼応するように、私が住むネグロス島の西隣、パナイ島の州都イロイロが封鎖状態に。多数の医療関係者がコロナ感染しているとのこと。

先週、イロイロ在住の家内の友人が、誕生日をレストランで祝う写真を、フェイスブックに投稿していた矢先。

さて、コロナ騒ぎでオリンピックの延期が決まったぐらいの時期から、東京都知事やマスコミ各社が、聞き慣れないカタカナを連発。「パンデミック」「アウトブレイク」「ロックダウン」「クラスター」「オーバーシュート」などなど。

代表的なカタカナ職業である「デザイナー」をやってた人間が言うのも何ですが、「世界的流行」「感染爆発」「都市封鎖」「集団感染」「患者急増」と、初見でも意味が分かる日本語があるのに、なんでわざわざ英語を使う?

そう思ったのは、私だけではないようで、ちょっと検索したら、批判的な記事やら、意味の説明一覧のサイトが目白押し。聞きかじりの生半可な知識を、さも「俺はよく知ってるんだ」とばかりに吹聴する時に、やっちゃうんですよね。

私の場合、それでなくても日常的な作業や道具が、カタカナ名前ばかりでした。「アイデア」「スケッチ」ぐらいは分かるにしても、「コンセプト」を立案し、「マーカー」で「レンダリング」を描き、「モデラー」に依頼して「モックアップ」を作成。それを使って「プレゼンテーション」して、その結果を「3Dデータ」に反映する。

もう訳分からんでしょ。
デザイン実務経験のない偉いさんに説明する時は、それはそれは気を使ったものです。下手にカタカナ用語を多用すれば反発されるし、いちいち解説したら、素人扱いするなと怒られる。

そういう経験を積むと、どんな知識レベルの人がいるか分からない公の場で、生のカタカナを説明なしに使うのは、ただの馬鹿にしか見えません。あるいは最初から自慢したいだけで、理解してもらう気がないのかと思ってしまう。

考えてみれば、表意文字である漢字を取り入れた日本語って、誰にでも理解可能な造語が容易にできる。例えば、今流行りの「在宅勤務」。初めて見聞きした人でも、職場に行かず自宅で仕事することだと分かります。それをまた「リモートワーク」って言い換えて、意味を分かりにくくするって、どこまで頭悪いんだか。

フィリピンでは、政府や役所からのお達しは英語が基本。タガログ語も使いますが、本気で全国に通達する時には、やっぱり英語になることが多い。

ご存知の通り、英語は26の表音文字だけの言葉。比較的簡単な単語を複数使った表現ならば、私でも分かります。厄介なのは一語で難しいヤツ。「検疫」を意味する「quarantine」って、最初は何のことやら全然分かりませんでした。くぉれんてぃーん???

そんな言葉、普通に生活してても、まず使うことないですから。

さらにそれを他の言葉と組み合わせて、頭文字だけの略語に。GCQ / General Communitiy Quarantine (一般的な検疫地域)、ECQ / Enhanced Community Quarantine(防疫強化地域)。在フィリピン邦人の方々には、うんざりでしょうけど、初めてネットで目にした時には、恥ずかしながら、BCG(結核の予防接種)でも始めるのかと思ったぐらい。

実はこれ、笑い事ではなくて、公用語である英語を満足に理解できない人が、意外に多いフィリピン。貧困のため教育機会に恵まれなかった中高年層に、その傾向が顕著。7年前のスーパー台風ヨランダ来襲時に、事前に高潮警報が出ていたのに、高潮を意味する英語「Surge」が理解されず、避難が遅れて多くの犠牲者が出たそうです。

ということで、日本であれフィリピンであれ、緊急時になるほど、言葉の理解が切実な意味を持ってくることを、思い知らされております。ちなみに、私の父がドバイで建築現場の監督をしていた1970年代、パキスタン人労働者のために「危ない!」をウルドゥー語で覚えたと言ってたなぁ。


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