2021年8月3日火曜日

デルタの恐怖

 つい数ヶ月前の4月、新型コロナのデルタ株によって、インドが大変なことになりました。このブログを書いている8月3日現在の数字では、何と新型コロナによる死者が、約42万5千人!いくら母数となる人口が世界で一番多いと言っても、これは信じられない。しかも実際には未確認を含めると、死者数はその十倍の、340万人から470万人に上ると見られているそうです。

このデルタ株、フィリピンの隣国インドネシアでも猛威を振るい、死者は10万人に迫る勢い。この中には在留邦人17名が含まれており、まったく他人事ではありません。日本航空によりチャーター便で、146名の日本人が帰国したニュースも、まだ記憶に新しいところ。

その他の東南アジア諸国では、タイ、マレーシア、ベトナム、ミャンマー、などで感染が拡大中。初期の流行をほぼ完全に水際で封じ込め、防疫の優等生と見なされていた台湾が苦境に陥り、日本がアストラゼネカのワクチンを送り緊急支援した件は、当ブログでも取り上げました。

我が母国の日本では、オリンピック開催中の東京周辺が、文字通りの緊急事態。私はツィッターで何人かの信頼に足ると思う医療関係者をフォローしています。彼らが異口同音に訴えるのが、救急医療現場の切迫状態。コロナ陽性で高熱を発し、通常なら即入院の患者でも受け入れられない状況。

とうとう首相が「入院は重症に限り、軽症・中等症は自宅療養」との発言。最近になって、医療関係者と一般の人の間で、症状のイメージに著しいギャップがあると指摘されましたが、ネットで拡散されたイラストを見るとゾッとします。

今回自宅療養が基本とされた中等症。酸素吸入が不要なだけで肺炎が広がっていても重症にはならない。素人が考えたって、こんな状態で一人暮らしだったら、容態が急変して孤独死なんてことも十分あり得ます。実際にインドでは、近隣の病院でことごとく治療を拒否され、遠方の医療機関に向かう途中で亡くなる例が多かったらしい。

そして我が第二の母国フィリピン。

デルタ株感染者のニュースは、連日テレビでも報道されています。幸運にも、フィリピンへのデルタ侵入は比較的遅れていますが、周辺国でこれだけの大惨事が繰り広げられれば、警戒するのは当然。

当初8月15日とされていたマニラ首都圏での防疫強化は、なし崩し的に前倒し。8月6日からのECQ(強化されたコミュニティ隔離措置)よりさらにフライングで、すでに7月31日には、テイクアウトを除く事実上の飲食店閉鎖状態。

私の住むネグロス島シライ市では、一旦10名前後で落ち着いていた陽性患者数。それが6月頃から一気に100〜150名で推移。ここ数日はピークアウトして50名以下になったものの、デルタによる感染爆発の嵐の前の静けさではないかと、戦々恐々としております。

本格的な医療崩壊が起こった時、何が怖いかって、コロナ以外の急病や事故でマトモな治療が受けられない可能性が大きいこと。特に州都ですらないシライ。コロナ以前でも院内感染のリスクがある公立病院しかない場所柄。

このタイミングでデング熱にでも罹ったら、一巻の終わりになりかねません。盲腸でもヤバいかも知れない。頼みの綱のワクチン接種は、8月2日現在で100人当たり17.9回(日本は70.6回)。しかもファイザーやモデルナでも、デルタに対しては若干効果が落ちるとされています。フィリピンで主流の中国製シノバックって、果たして有効なんでしょうか?

いずれにせよ、まだまだ先は長いですね。



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