2016年2月22日月曜日

国歌が大好きフィリピン人

日本で「君が代」のことを話し始めると、途端に政治のことやら歴史のことやらで、右からも左からも袋叩きになりそうな気配を感じます。正直に言って、私には極端な賛否を唱える人の感覚がイマイチよく分かりません。絶対に歌わないと頑張る人も、何が何でも歌わせようという人も。こういう国歌に対する屈折した感情を抱いている国民は、世界広しといえども、私の知る限り一部の日本人だけだと思います。

そこへ行くとフィリピン人の国歌への想いは、実にシンプルでストレート。スポーツの国際試合、特にフィリピンの国民的英雄マニー・パッキャオの試合前の国歌斉唱は、誰が歌ってどんな歌い方をしたかに国民の関心が集中します。それほどフィリピン人は自分たちの国歌が大好き。

国公立・私立に関係なく学校行事では先生も生徒も大声で歌うし、国内最大手のショッピングモールでは、毎朝開店前に国歌を館内放送。ゲートの前で待っているお客さんは、だいたい右手を胸に当てて直立不動です。だからと言ってピリピリした雰囲気は皆無で、みんなごく自然にそうしている。

笑ってしまったのは、去年の町内会の美人コンテストでも、開会式にはみんな起立して国歌斉唱していたこと。甚だ不謹慎ながら、アニメのテーマソングを歌うのが大好きな子供か? と思ってしまいました。

フィリピン国歌がここまで国民に愛されるのは、この歌が333年に及ぶスペイン支配から脱して、1898年の独立とほぼ同時に制定されたものだからでしょう。最初はスペイン語の歌詞だったそうですが、その後タガログ語に翻訳され現在に至っています。私は聴いたことがありませんが、英語版もあるそうですね。

歌詞の内容は、まるで恋人を賛美するような直球ど真ん中の祖国賛歌。ここまで堂々と祖国愛を歌い上げることができるフィリピン人が、羨ましくなるほどです。多分、日本以外の大抵の国歌は、そういうものなんでしょうけど。


ジェシカ・サンチェスによるフィリピン国歌
(2014年パッキャオvsブラッドリー戦)



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