映画の内容は、日本語のものか、洋画でも日本語の字幕付きで、当然ながら私のコレクションの一部。私の好みなので、どうしても歴史物や戦争物が多くなります。特に第二次世界大戦を舞台にした映画。
ところが大学生ぐらいの人と映画を見ていると、時代背景をある程度説明してあげないといけません。これは少々愕然としたのですが、その戦争が第一次大戦なのか第二次なのか? 戦っているのは、どの国の兵士なのか? 私にとっては常識と思っていたことが、分からない。
我が家に来てくれた学生さんは、どの人も礼儀正しく、社会常識はちゃんと身につけた人ばかり。特別変な人たちという訳ではありません。いろいろ話を聞いてみると、どうやら高校で、歴史をきちんと勉強していない。
確かに私が高校生だった30年以上前から、高校の歴史教育、特に日本史はひどかった。何がひどいって、一番重要な近代以降、日本で言うならば明治維新以前に学年が終わってしまい、時間切れで教えられないなんてアホな事が、日常的に起こっていました。
最近ではさすがにこれはイカンと思ったのか、日本史AとBに分けて、近代だけAで教えているそうですが、大学受験に関係なくて履修しないこともあるらしい。いや、それはダメでしょう。
グローバル化が必要と言われて久しい日本。実際私が仕事をして海外に出た時や、国内でも日本人以外の人と仕事をした時に痛いほど感じたのは、自分の国の歴史や文化を、ちゃんと自分の言葉で語れることの大事さ。例えばシンガポールでは「私たちの国は、かつて外国の植民地になってしまったのに、なぜ日本は明治維新を起こすことができたのですか?」と真面目に質問されたことがあります。
これが「自分の国の歴史も知らずに恥ずかしい」ぐらいのことならば、もう一度ネットで調べてでも勉強しておけばいいのでしょうが、どうも自国の歴史の知識不足が、政治への無関心につながっているのではないかと思えてなりません。今自分たちが生きている時代に、直接つながる経緯の知識が欠落してたら、そうなっても仕方がない。
フィリピンの場合、つい最近、それこそ私が高校生だった頃に、マルコス独裁という苦い歴史を経験しています。私の家内など、ピープル・パワーと呼ばれる革命運動に参加した経験も。このブログで何度か触れた、フィリピン人の政治への熱心さは、そんな生々しい過去や、300年以上に及ぶスペインの支配、さらにそれに続くアメリカ、日本による占領という、辛い民族の記憶があるからなのでしょう。当然、子供たちには、きちんと教育をしています。
今回の参議院選挙。憲法の改正に進むべきかどうかという、とてつもなく大事な争点があったはずなのに、相変わらず50%台の投票率。私は、与党による改正案、特に気になっている「第9章 緊急事態の宣言」を家内に説明してみたら、「それは、マーシャル・ロー(戒厳令)のことや!」とただちに理解。マルコス時代に、フィリピン国民が苦しめられましたからねぇ。
この選挙の結果で、日本が三十数年前のフィリピンのようになると決まったわけでもなく、実際には憲法を改正するとなったら、いろんな改正案が出て、それなりの議論が為されるのだろうと思います。ただ、どの道を進むにしろ、もうすぐ11歳の誕生日を迎える私の日比混血の息子が、成人する時に胸を張って「日本国籍を選ぶ」と言える国になっていることを、切に願わずにはいられません。
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