2016年7月31日日曜日
ネルジーのトラウマ
お肉がまったく食べられない、我が家のメイド、ネルジー嬢。先日、その理由がやっと分かりました。例によって夕食後、ケラケラと笑いながら家内と地元の方言での雑談。あんまり楽しそうだったので、後になって何の話題だったのか家内に訊いてみると、これがまた、エラい深刻な話。
ネグロス島、山岳地帯出身のネルジー。8歳の頃に殺人事件を目撃してしまったそうです。酒に酔った男5人が蛮刀で斬り合って、3人がその場で即死、残りの2人は搬送先の病院で死亡。凶器に使われた蛮刀は、草刈りによく使われているものだったんでしょうね。市街地でも、空き地を放っておくと、あっという間に草ボウボウになる気候なので、どこの家でも1本や2本はある代物。我が家の物置にも1本あります。
可哀想に、血まみれの惨殺死体をまともに見てしまったネルジー。それからというもの、この惨劇を連想させる肉類が、まったくダメになってしまったそうです。
詳しい原因は分かりませんが、ひょっとするとこれは、「アモック」だったのかも知れません。フィリピンをはじめとする、マレーシア、インドネシアなどで見られる、このような激情的な無差別殺傷は、一種の精神疾患の症状とされていて「アモック」Amok と呼ばれています。(詳しくはこちら)
アモックは、英語にもなっていて、「Run Amok」で「逆上して暴れる」という意味になるそうです。私も調べてみるまで知りませんでした。
このアモックが多かったのは、昔のことで、現代ではほとんどなくなったと言われています。しかし、フィリピンに住んでみて、地元の人からは、殺人にまでは至らずとも、発作的に暴れて大喧嘩になったり、相手に怪我をさせてしまったりという話は、時々聞きます。
平素、穏やかで大人しい人が多い印象のフィリピン。特に、田舎町のシライにいると、人々が大声で口論したり争ったりする姿は、滅多に見ません。それだけに、日頃抑えている感情が何かのきっかけで表面化すると、コントロールできない爆発になってしまうのでしょうか?
日本人がよくやる「人前での叱責」。相手がフィリピン人の場合、いくら言っても表情を変えないことが多いので、堪えていないのかと思っていると、いずれ大変なことになりかねませんね。
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