2014年9月24日水曜日

完成しない家

フィリピンの建築工事のエエ加減さは、自宅を建てる前から、日本人からもフィリピン人からも散々聞かされ、実際に自分が施主になってみてさらに思い知らされました。工期はあってないようなもの、仕事ぶりは厳重に監視しないと図面は無視(と言うよりキチンと図面が読めない)、資材は絶対施主が自分で買い付けないと、お金をドブに捨てることに。

任せて放っておくと、工期は伸びまくり、手抜きでガタガタ、予算使い切っても住める状態にはほど遠い…。そうさせないために、心血を注いだものです。まず、基本設計は信頼できる日本人の建築士 にお願いして、二度もフィリピン出張してもらい、現地の気候風土と私たち家族の要望を十分理解してもらってから、図面を描いていただきました。施行は、工務店を経営しドバイでの業務経験のある父に、工期の八割ほどの約半年間こちらに滞在して現場監督をやってもらい、届け出関係は市役所に勤める家内の弟に頼みました。

後から考えて一番重要だったのは、その義弟による現地の大工さんの人選 。多い時で20名を越える大工さんたちが集まったので、中には「ハズレ」な人もいましたが、まとめ役のリーダーのリトや、何でもこなすトニオ、仕事が早いレイ…。全体的に見て、いい大工さんが集まってくれたと思います。

技術的なことと工期は、父が きちんと管理してくれた一方、予算は何と言っても家内。最初から具体的なお願いをしたわけではないですが、家計簿のごとく細かく出納管理。ほぼリアルタイムで使った金額が掴めるので、本当に助かりました。

しかし、ここまで理想的な環境を整えられたのは、ほとんど奇跡的だったような気が。先日、自宅の祝福パーティで知り合った、ノルウェー人のヤンさん。彼の隣家が、今新築工事中なのですが、彼から話を聞くと、ずいぶん悲惨な状況になっているようです。

施主はおばあさん。フォアマン(請負の現場監督)に前金を払うパッキャオ・システムらしい。ところが払ったお金を使い切っても、全然完成しない。どうやら、フォアマンに任せっきりにしていたようです。

可哀想なことに、お金がなくなった時点で工事は否応なく中断し、一部屋だけ何とか住める状態にして引越してきたとのこと。今日、見に行って来ましたが、未完成というより廃屋のように見えました。玄関の扉も付いておらず、これでは夜は 怖い だろうなぁ。ちょっと強い夕立があったら、室内は吹き込んだ雨でびしょぬれになりそうです。



実際、こういう家は多いんですよ。
どう見ても未完成なのに、工事中でもなく普通に人が住んでいる。家内に聞くと「途中でお金がなくなったんでしょ。」と涼しい顔で答えたのには、ずいぶん驚いたものです。日本でも予算切れで工事がストップということもあり得るでしょうが、同じ市内に何十軒も完成しない家があるというのは、考えられない。

今回、いろいろあったとは言え、何とかマトモな家が建ったのは、私が頑張ったというより、偶然家族や親戚に頼れる人が何人もいたこと、有能な人たちとの出会いがあったことに起因したんだと、しみじみ思います。
これを神さまに感謝しないで、誰に感謝するべきや?


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