2014年12月8日月曜日

弱点狙い撃ち〜22号台風ハグピート〜

まだ台風22号は、この時間(12月8日正午頃)フィリピン・ルソン島の南にあって、首都マニラに接近しているものの、昨年の30号台風ヨランダに比べると小規模な被害で済んだようです。台風自体がそれほど強くなかったというのもありますが、やはり去年、似たようなコースの台風で激甚災害があったので、政府も地方も本気で警戒したからでしょう。

今回は我が家でも、食料・飲料水・トイレに流す水の備蓄・車のガソリン。考えられる用意はすべて済まし、沿岸部に住む親戚にも声をかけて一昨晩は泊まってもらいました。結果的には幸運にもどれも空振りで、停電すらまったくなかった。

言っても詮無いことですが、ヨランダの時にレイテで同じように避難してたら、6000人以上もの人命は失われなかったかも知れません。台風に限らず、またフィリピンに限りませんが、自然災害というのは、油断してる人の弱点を狙い撃ちにしてくるものらしい。

しかしフィリピンの場合、毎年同じように痛い目に遭うのに改善されない、あるいは改善できない所もあるようです。例えばフィリピン中部のビサヤ諸島の東岸。フィリピンに襲来する台風が、最初に上陸する確率がとても高い場所なのに、海岸沿いギリギリまで粗末な住宅が軒を並べています。高潮や津波が来たら、誰が見ても一たまりもないのが分かりきっているのに。

ここシライ市内でも、貧しい人が(不法占拠も含めて)家を建てられるのは、海沿いや川沿いなどの低くて水はけの悪い場所が多い。台風でなくても、一晩激しい雨があると浸水。

フィリピンの南に位置するミンダナオ島で多いのは、土砂災害。こちらは完全に人災で、森林が壊滅的に伐採されてしまったため。一度被害が出ると、犠牲者の数が百人・千人単位になってしまう。

そして、首都マニラ。人口だけで言うと東南アジア最大の都市なのに、下水道が貧弱でほとんど毎年洪水。一説にはポイ捨てされたレジ袋が、排水溝を詰まらせているからだとも言われています。確かに街並みの汚れ具合を見ると、そうかも知れない。

相手が自然なので、完全な防災は不可能にしても、あまりの無防備、あまりの無為無策ぶりに悲しくなってくるほどです。日本も自然災害が多いのは同じで、時には千人・一万人単位の死者が出ることもありますが、毎年とか数年おきに同じことになるというのは、さすがに考えられない。

時々冗談でフィリピン人同士でも、フィリピンは独立などせずアメリカの51番目の州になったら良かった、と言うことがあります。ひどい災害が繰り返されると、ただの外国人の立場である私などは、本気でそうだったほうが、フィリピンの人たちは幸せだったのではないか?とすら思ってしまいます。もちろんこれは暴論ですが...。


台風一過。久しぶりに青空が顔を出したシライ市の朝。


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