2016年12月30日金曜日

フィリピン・ペソ紙幣のこと


紙幣切り替えを伝えるポスター

フィリピンでは、今年(2016年)いっぱいで、フィリピン・ペソ紙幣の切り替えが完了する...はずだったのですが、この年末ギリギリのタイミングになって、3か月延期になりました。さすが我らのフィリピン中央銀行、行き当たりばったり加減は、もう神がかりの域に達しています。

1985年から流通が始まった旧ペソ紙幣と、2010年からの新ペソ紙幣が二重に使われているフィリピン。6年がかりの紙幣切り替えの最終年が今年の予定でした。当初の手筈では、明日大晦日で旧紙幣は使用不可。つまりいくら大量に持っていても、全部紙くずになってしまうという恐ろしい事態。かなり以前から注意喚起が。

理由は、偽造の防止。日本でも同じ理由で時々紙幣の切り替えがあるそうですね。しかしフィリピン・ペソ紙幣の場合は、世界でも最高水準の印刷技術を駆使した日本の紙幣に比べて、かなり偽造が容易。以前から問題になっていました。普通に買い物してても、高額紙幣の500ペソとか1000ペソは、レジのおねぇちゃんが透かしを確認するのは当たり前。

そんなドタバタ騒ぎのフィリピン・ペソ紙幣。実生活での使い勝手はどんな感じでしょうか?

まずは、庶民には一番馴染み深い20ペソ札(約47円)。トライシクル(輪タク)に乗ったり、サリサリストア(雑貨屋さん)で、ペットボトル入りの水を買ったりするのに使う紙幣。独立直前の準備政府・初代大統領のマニュエル・ケソン氏の肖像が使われています。日本でいうと、伊藤博文初代総理大臣に相当する人物。私の世代だと、伊藤博文=千円札ですね。


そんな偉い人の顔が印刷されているのに、扱いは随分ぞんざいで、八百屋でお釣りにもらったりすると、黄ばんでしわくちゃ。我が家のメイドさんのネルジーも、丸めてポケットに突っ込んだりしてます。かわいそうなケソンさん。実はもっと少額の5ペソや10ペソ紙幣もまだ使えるらしいのですが、4年前の移住以来、一度も実物を見たことがありません。

手元にあって一番使いやすいのは、100ペソ札(約236円)。お顔は、こちらも元大統領のマニュエル・ロハス氏。現在に直接つながる第三共和政の初代大統領で、第二次大戦直後の1946年就任。日本だと吉田茂さんのような位置づけでしょうか。


食材や日用雑貨の買い物は、この100ペソ札が3〜4枚もお札にあれば、だいたい大丈夫。頼り甲斐は、千円札の感じですね。トライシクルでは無理ですが、乗り合いバスのジプニーだと、なんとかお釣りも出ます。ただしタクシーでは、例えば250ペソの料金で100ペソ3枚渡しても、50ペソはチップと見なされてしまう場合も。大袈裟に言うと、ここでお釣りを要求できるかどうかが、フィリピン在住者と短期滞在の旅行者の分かれ目。私ならば、お釣りの50ペソを受け取ってから、10ペソか20ペソ程度をチップに返すでしょう。

そして500ペソ(約1180円)。表に印刷されているのは、1986年のエドゥサ革命の立役者、元大統領のコラソン・アキノ氏と、その夫で元上院議員のベニグノ・アキノ氏。さすが高額紙幣。ネグロス島で、比較的いい給料を貰っている人の日給が500ペソぐらい。そう考えると、やっぱり五千円札レベルの貫禄ですね。シライ市内ならば、家族3人でちょっと外食しても、500ペソ札1枚あれば十分。


まだこの上に1000ペソ(約2360円)紙幣はありますが、現金としては少々持ち重りする額。高額過ぎて、人前でちらつかせるのは怖い感覚。私は1000ペソ以上の支払いの場合、極力カードで済ませるようにしています。

本来ならば、ここ何年かの好景気を反映して、5000ペソ札(約11,180円)があっても良さそうな気もします。家を建てている時には、建材購入で2〜3万ペソの現金を下ろしたりしましたが、ATMで全部1000ペソ札で出てきても、札入れがパンパン。時々500ペソ札も混ざると札束状態。まるで何十万円も持ち歩いているような感じでした。でも現実的には、高額紙幣を増やすよりも、キャッシュカードを使える店舗を増やした方がいいのかも知れませんね。


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