こういうスタイルの宅地は、フィリピンではサブディビジョンと呼ばれます。私の知る限り、このセントフランシスは、かなり高級な部類。フェンスのないただの住宅地だったり、フェンスはあっても警備が雑で、コソ泥も強盗もフリーパスなものまであります。
ここは、元々はサトウキビ畑だった場所。オーナーはこの付近の土地を所有する大地主。フィリピンで地主というと、植民地時代から続く搾取の象徴のような存在で、その大金持ちぶりは半端ではありません。
広いと言っても、すべての区画に住宅が建設済みなのは、比較的価格の安いフェイズ1という地区だけ。それ以外のフェイズ2〜6はやや高額で、場所によっては最低でも2ブロック以上が購入条件。そのため売却済みでも投資目的のオーナーが多く、まばらにしか家が建っていません。
私が十数年前に土地を買ったのが、最も早くから売り出されていたフェイズ・エグゼクティブ(すごい名前)内の4ブロック。こんな書き方をすると、びっくりするような値段かと思われますが、全部まとめて200万円に届かず。ローンなしのキャッシュ払いが可能でした。
最新の情報によると、現在フェイズ・エグゼクティブの1ブロック(150平米)の価格が、46万ペソ。ざっと98万円なので、4ブロック(600平米)で 392万円。日本に比べれば桁違いの安さとは言え、購入時のほぼ倍になってたんですね。
この値段の土地を買える人は、ネグロス島の感覚ならば、1ブロックだけの所有でもかなりの金持ち。フェイズ・エグゼクティブのハウスオーナーとなると、「富豪」と言ってもいいぐらい。
ところが、こういう連中が、サブディビジョンの共益費を滞納してるんですよ。先日、クラブハウス(管理事務所)で緊急ミーティングが招集され、未納のハウスオーナーに警告が出ました。払わなかったら、名前書いてゲートに貼り出すぞという、最後通告だったそうです。
どんな高額の共益費なんだと言われそうですが、1ブロックにつきたったの100ペソ余り。(約200円)。4ブロック以上も所有して、超豪邸を建ててるオーナーに限って、全然払ってない。どうも、ネグロスの金持ちって、こういうことが恥ずかしいとは思わないものらしい。
こんな家に住んでて、月1000円程度を払わない
共益費を徴収できないと、警備員も雇えないし、宅地内の街灯の電気代も払えない。定期的に草刈りしたり、伸びすぎた樹木の枝打ちしないと、危なくて車を走らすこともできない。特に最近は、周囲の治安が悪くなってきて、宅地内でも強盗騒ぎがあったばかり。一体、何を考えてるんでしょう。
豪邸の主は、宅地の警備員とは別に、プライベートのガードマンを雇ってたりするので、自分たちには関係ないと思っているのか。それでも、宅地全体が物騒になれば、何をするにも不便で面倒になるのは間違いない。本当に、目先のことしか見えていない。罰則や罰金がなければ、どんなに余裕があっても必要な経費を払おうとしない。周囲から知られていても、平気で開き直る。どうも私の周囲の富裕層は、大なり小なり、こんな感覚の人が多い気がします。
「恥の文化」の国で育った私。その中では例外的に、関西人は体裁ばかり気にすることを「エエ格好しぃ」と馬鹿にする傾向があります。50年間、関西で生きてきて、日本は窮屈で鬱陶しいと思ってましたが、「エエ格好し無さ過ぎる」のも、考えものだったんですね。
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