2020年2月24日月曜日

日本のお役所


とうとう新型コロナウイルスの感染が、日本国内に広がってしまいました。感染経路が全然分からないケースが増えているようなので、これはいくら言葉を繕っても、水際対策は失敗ということでしょう。

しかし、感染源が中国の人口1千万を超える大都市で、春節の「民族大移動」時期にぶつかるという最悪のタイミング。感染者が出ているのは、日本だけでなく、韓国、シンガポール、香港、タイ、台湾、マレーシア、オーストラリアなど。(2月21日現在 感染者が確認された国と地域

どこの国でも、滅多にない非常事態だったし、まだ情報が少ない時期に、感染地域からの入国完全禁止などの強行手段を取れなかったのは理解できます。今、横浜に停泊中のクルーズ船でも、現場で働く人たちは、不慣れな状況に試行錯誤の連続で、疲弊し切っていることは、想像に難くない。

ただ、日本のお役所、今回の場合は、厚生労働省の説明能力の低さに絶望的な気分を味わっています。

まず、同省のホームページを一見して、その不親切さに愕然。一般国民が一番知りたいと思われる事柄、感染の現状がどういうフェーズにあって、どの程度の深刻さで、どんな対応をすればいいのかが、リンクを飛んで読み進めないと、パっと見て分からない。読み進めても、通り一遍の中身のない文章の羅列。

ひどいのはリンク先がPDFだったりする。説明が面倒だから、責任回避のためにプリントアウトして壁に張り出しておけと、厚生労働省の末端組織が、便利使いするためだけの物なのかと勘ぐってしまいます。

特に「イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ」なんて、開催の必要性を改めて検討しろ、でも一律の自粛要請ではないって、一体何が言いたいのか? 必要があるから開催を準備しているのに、具体的基準も示さず、最後は自分らで判断しろと突き放してどうする。

これでは、専門知識持つ個人の方からの発信の方が、よっぽど親切で分かりやすい。

例えば、さまざまな市民活動を支援しておられる、松原明さんの「イベント開催可否の判断基準について」。あるいは、感染症・公衆衛生を専門として、ダイヤモンドプリンセスの船内でも作業をされている高山義浩さんの、一連のフェイスブックでの発信

なぜクルーズ船での全員の検査をしなかったかの理由や、感染の可能性がある乗客の隔離・拘束を、人権と法律の観点から解説するなど、明確に分かりやすく書かれています。

高山さんは、神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授とのやり取りで、有名になりましたね。

さて、問題の厚生労働省。自国民にさえこの程度の対応なので、英語での発信は、もう問題外のレベル。2月23日付けのNews Week の記事によると、驚くことに、自動翻訳した英文をそのまま掲載しているらしい。英語ネイティブの人によると「わけの分からん英語」だそうです。

それでなくても、中国に次ぐ感染源として、日本からの旅行者拒否の動きが広がっているこの時期。News Week、CNN、BBCなど、「日本政府への忖度ゼロ」の欧米の主要メディアは、歯に衣着せぬ報道を展開。岩田健太郎教授がクルーズ船内での所見を述べたユーチューブの映像を、真っ先に報じたのはBBC。


フィリピンに永住しているから、日本国内のことは無関係だろうと思われるかもしれませんが、それが関係大有り。この2月から、日本からの英語留学の生徒さんを受け入れているので、もしフィリピン政府が、日本からの航空便を拒否するとなったら、3月以降、4月まで入っている予約は全部パー。

それだけでなく、こんな状態が続けば、日本人だというだけで、根拠のない差別や偏見の対象になる可能性もある。差し当たっては、地元の中学に通う息子のことが心配です。

厚生労働省には、失敗したこと、間違いだったことは隠さずに実態を報告してもらい、その上で、分かりやすい表現と方法で、最新の情報をきちんとアップデートしてほしい。いかに責任を被らないようにするかの、何がポイントかよく分からない作文作業に、汲々としている場合ではないですよ。


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