2018年10月1日月曜日

フィリピンの歴史教育

前回に続き今回は、日本とフィリピンの歴史教育について。

我が家に来てくれる日本からのお客さんたち。大学生なのに、日本史を習ってないから歴史のことは分かりません、と軽く言い放ってしまう人がなんと多いことか。ショックを受けたので、改めて日本では自国の歴史をどのように教えているのか、調べてみました。

すると、中学の社会科に、ちゃんと「歴史的分野」があって、古代から現代までの通史を勉強しているはず。ただ、前回も書いたように、数千年分の超高密度日本史を1年で詰め込んだら、興味のある時代以外、細かいことはほとんど記憶に残らないでしょう。

さらに高校では、日本史は選択科目。日本史AとBに分けて、Aは明治以降の近代〜現代史、Bは通史。これって常識で考えたら、日本史Aこそ必須。ところがセンター試験では、日本史Bに比べると、受験者数はかなり少ないらしい。

まったく、アホかと言いたくなる。そりゃ、こんな扱いしてたら、受験にも就職にも不必要とばかりに、明治維新のことや、太平洋戦争のキチンと学ばないまま社会人になってしまうのも無理はありません。だから、ネット上に流布される歴史改竄デマを、いとも簡単に信じちゃったりする人が、出てくるんでしょうね。

それに対してフィリピン。
実は、今年小6の息子が、まさにフィリピンの現代史を習っているところ。フィリピンでは社会科(Araling Panlipunan Pilipinas)で、地理などと合わせて、小学校3年生から歴史を学びます。



そして6年生の教科書には、スペインからの独立運動、アメリカの侵略と植民地政策、第二次世界大戦、マルコス独裁、エドゥサ革命まで、小学生向けにしては、レベルの高い内容が書かれている。



特に日本のフィリピン侵攻は、真珠湾攻撃から始まって、バタアン死の行進、戦争末期のマニラ戦での、日本兵による市民の虐殺と市街地の無差別破壊まで、かなりの文章量を費やしてます。アメリカの戦艦ミズーリ甲板上で行われた、東京湾での日本の降伏文書調印まで紹介されているのには、驚きました。


小学生から、ちゃんと現代史を教えている国フィリピン。そこへ、一方的に被害を与えた国の人間がやって来て、歴史を習ってないから知りませんとは、恥ずかしいを通り越して、憤りすら感じてしまいます。私がフィリピン人だったら、マジ切れしそう。

グルーバル化に対応しようと、幼いうちから我が子に英会話を学ばせる親が多い昨今。英語もいいけど、子供に自国の歴史を教えないのは、致命的にヤバい。喋り方より、喋る内容こそが何倍、何十倍も大事。いくら流暢に英語が喋れたって、生まれた国の歴史すら知らない人は、誰も尊敬してくれませんよ。


2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    日本の歴史教育について、勇気あるご意見に感激しました、
    私は、ドマゲテーに昨年まで、1年ほどいました。マレーシアとフイリピンを行ったり来たりしている退職者です。あす、KLからセブそしてダバオへ旅します。
    私は「教えられなかった戦争」の追体験の旅をしています。フイリピンでは、30万から40万の日本人兵士が戦死、その数倍のフイリピン住民が死んだといいます。多大な迷惑をかけたものです。今若者は、そんなことも知らず、知らされず育っています。こんなことでいいわけありません。とくに、先の戦争を美化し、侵略戦争の実態を教えない。日本政府に大きな問題があると思います。あなたの勇気に、大いに元気いただきました。ありがとう。

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    1. 特にインターネットが本格的に普及した、ここ10年ほどで、加害者としての歴史を語ろうとすると、反日だとか偏向だなんて、一部の人が無茶苦茶なことを言うようになりましたね。

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