2018年11月13日火曜日

フィリピン人の未来は明るい


もちろん、本当にフィリピン人の未来がどうなるかは、私にも、当のフィリピン人にも分かりません。でも、家内を含めて、この国の多くの人たちと付き合った経験から言うと、主観的には、どの人の未来も、ずいぶんと明るく見えているような気がします。つまり、日本人に比べると、先の見通しが楽観的。

日本と違って、年に2回も3回も米を収穫できるし、厳しい寒さを心配する必要もない。バナナやパパイヤなんて、ほとんど放置しておいても実がなる。そんな環境で何世代も暮らせば、楽観的にもなるでしょう。

ただ、それがいいことばかりとは言えないのは、皆さんお気づきの通り。概して熱帯に住む民族は、優しい気候のせいか、寒帯や温帯、乾燥地帯の民に比べて、気性が穏やか。周囲の国々を攻め滅ぼし、巨大帝国を打ち立て、世界文明を築く、なんて勇ましいことは、昔からやったことがなさそうです。

そんな歴史にまで話を広げなくても、先の見通しが甘いと、仕事面で差し障りが多い。自宅を建てた時の大工さんを見ていても、行き当たりばったりと言うか、計画性がないと言うか。工期も材料も、まず見積もり通りには進まない。それも1〜2割程度の差どころではなく、最初に発注した建材が不足で、買い足しを繰り返し。終わってみれば2倍以上も必要だったなんて日常茶飯事。

だからと言って、見積もった人が責任を感じて、思い悩んだりすることは、ほぼあり得ない国民性。ここで問い詰めて叱りつけたら、逆恨みされることは間違いないでしょう。日本人がフィリピンで人を雇った時に、陥りがちな落とし穴です。

その点日本人は、先の心配をすることにかけては世界一。何をするにも準備が完璧になるまで動かない。まず貯金だ、資格だ。最低でも3年は経験を積まないとダメだ。業界によっては、今でも10年の修行は当然と思っている人さえいるぐらい。

特に最近、日本では人生90年、100年と言い出して、老後破産なんて恐ろしい言葉がネット上でよく見られます。それでなくても、貯蓄率が異様なほど高い日本のこと。今後はその傾向に拍車が掛かるんでしょうね。

でも考えみてば、行き過ぎた準備は、往々にして将来のために、現在を犠牲にすることになります。本当はやりたかった夢を諦めて、安定性最重視であまり面白くもない仕事に就き、精神を病むほど人間関係に悩み、60歳、70歳になるまで同じ会社で働き続ける。

それも、今の時代、入社してから30年以上も先まで、その会社や業界が安泰なんて、まず考えられない。私にすれば、30年の住宅ローンを組むなんて、およそ信じられません。

現に私が所属していた家電業界なんて、テレビ、ビデオ、オーディオなどの花形商品は、見る影もなく儲けが出なくなり、世界市場では、ほとんど中国、韓国のメーカーに取って代わられました。これを書いている私自身が、定年を待たずに早期退職したぐらい。また新しいところでは、大手の各銀行が、人員の大幅削減に動きだしたという報道も。

ここまで来ると、果たしてフィリピン人と日本人、メンタリティの上でどっちが幸せなのか、考え込んでしまいます。日々の食事に困るような貧困レベルは別として、中流レベルのフィリピン家庭。この人たちって、それなりに苦労はあっても、一般的な日本人ほど、先のことを心配しているとは思えません。

狂ったような長時間残業もないし、夫婦共働きでも、家族揃って夕食を摂るのが当たり前。いざとなれば、大抵頼れる親戚はいるし、住み込みのメイドさんや看護婦さんも、それほど無理しなくても雇える環境。そりゃ子育ては楽だし、子供が増えるのもよく分かります。普通に考えて、これは幸せでしょう。

常に最悪を想定する日本人と、いつだって一番上手くいくことしか考えないフィリピン人。死ぬ時に「いい人生だった」と思えるかどうかまで含めると、意外にもフィリピン人の未来は、日本人が想像するより明るいのかも知れませんよ。


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