2018年11月10日土曜日

フィリピン人にも偏見はある


当然と言えば当然。いくらカトリックが多くても、フィリピン国民だってただの人間。差別や偏見が、皆無なはずはありません。週1回、2時間のイロンゴ語レッスンで、今日たまたま出てきた、国籍や肌の色に関する偏見に基づいた言い回し。

なぜそんな話になったかというと、まったく別件で「あなたは、役に立たないものばかり買ってるね」という例文があり、じゃぁケチって、どういう言いの?と尋ねたわけです。

教えたくれたのが、Dalok(ダロック)という言葉。そこから脇道に逸れて、フィリピンで「ケチ」と呼ばれたら、それはかなり酷い罵倒になるとか。日本ならケチを良く言うと「倹約家」だけど、それに相当するイロンゴ語はないとか。そして、こういう表現もありますよ、と教えてくれたのが...。

Daw inchik ka.(ダウ・インチック・カ)「あなたは中国人みたいだ」が転じて「あなたはケチだ」という言い方。

別に、最近ネット上に溢れている嫌中・嫌韓の言説に流されたわけではなく、実際に会話の中で出てくることもあるそうです。ただし、良識のあるフィリピン人なら、これは偏見だと分かっていて、無闇に使うわけではない。

中国系の人、特に仕事関係で付き合った人々の印象から言うと、ケチというより無駄遣いをしない。それこそ倹約家であり、見栄を張って浪費したりしない人が多い気がします。台湾や大陸中国では、直接の利害関係がなくても、ずいぶんと手厚いもてなしをしてもらいましたよ。

これ以外には、「インド人みたいだ」Daw turko ka.(ダウ・トゥルコ・カ)だと、臭いという意味。これも相当ひどい。

ちなみに、偏見に基づく慣用句ではないけれど、私がフィリピンでたまにムッとするのが、日本人・中国人・韓国人の顔つきの特徴として、指で目尻を釣り上げる仕草をすること。家内の親戚が私の前でやるぐらいだから、悪気は全然ないんでしょうけど、殴ったろか、と思いますね。

当のフィリピン人は、肌の色が黒いと言われるとムカつくらしい。「色黒」イコール「頭が悪い」という偏見があるんだとか。イロンゴ語で「あなたは色が黒い」Negro ka.(ネグロ・カ)と言ったら、「お前は馬鹿だ」となってしまうので要注意。

これらとは反対に、日本人はみんな気前がいいとか、金持ちだとの偏見も根強いフィリピン。褒められてると思って、喜んではいけません。単に、物の値段も分かってない世間知らずだと、言われてるようなもの。

私など、初めてフィリピンに来た頃から、ボッタクられないように、1人でタクシーに乗る時など、極力日本人だと悟られないようにするのが常。英語だけ喋ってれば、大抵中国人に間違われます。よく考えたら、日本人=英語ができないとの偏見もあるんでしょうね。

ということで、実際の会話で、こんな言い回しを使おうとは思わないけれど、ラピュタの呪文同様、良い言葉に力を与えるには、悪い言葉も学んでおく必要がある。実生活では悪い言い方も知っていないと、気付かないまま相手の気分を害したり、悪口を言われているのにトンチンカンな返答をしたり。やっぱり無知なのは、よろしくないですね。


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