2018年12月27日木曜日

謙譲の精神

よく欧米に住んだ経験のある日本人が指摘するのは、贈り物を手渡す時に「つまらないものですが」と言い添えるメンタリティが、外国人には理解できないということ。自分を下げて、相対的に相手への敬意を表現する、謙譲の精神。

ビジネスシーンで、相手がアメリカ人だったりすると、謙譲や奥ゆかしさは、理解されないどころか、それが原因でバカにされたりすると言います。まぁ、それは相手と状況に依るもので、私がニューヨークで仕事してた時には、ドイツ系やらイラン系、香港にロシアと、マルチ・カルチャーなオフィスだったので、必ずしもそんな感じではなかったですけどね。

そして、今住んでいるフィリピン。
謙譲を意識しているのではないと思うけれど、褒められても「それほどでもないですよ」と照れ笑いする人って、意外に多い。

カラオケで人気者になれるほどの美声の持ち主だったり、びっくりするぐらいギターが上手くでも、「私は歌に自信がある」「俺のギターはプロ並みだ」と、大言壮語するフィリピン人って、少なくとも私は、会ったことがない。

まぁ、音楽やダンスに関しては、日本など比べものにならないほど層が厚い国。下手に自慢したら、もっとすごい奴はいくらでもいて、赤っ恥をかくことになるかも知れません。

それだけでなく、恥ずかしがり屋さん比率が高いこともあるでしょう。人見知りの激しい子供がいるのは万国共通でも、30代40代のいい歳した大人が、まるで初心な少年少女のように、人前で恥ずかしがったり。やっぱり親が過保護に育てるのが原因なのか。

半年前まで我が家で働いてたメイドのネルジーなんて、同じテーブルで食事ができるようになるまで、かなり時間がかかったし、初めてのお客さんが相手だと、声を掛けられても緊張のあまり返事もできないほど。

そして、最近知った、最近の若いフィリピン人の間で使われる慣用句が、Daw Jollibee ka ? (ダウ・ジョリビー・カ/お前はジョリビーみたいだ)。ジョリビーとは、フィリピンで一番人気のファーストフードのジョリビー。ここではそのマスコット、赤い蜂のキャラクターのこと。


つまり、何でも自分でやりたがる、目立ちたがりの嫌な奴、みたいなニュアンス。差し詰め関西弁ならば「エエ格好しぃ」というところ。出る杭を打っちゃうのは、どうも日本人だけとは限らないようです。

食べ物でも言葉でも、アメリカ文化の影響をモロに受けているフィリピンですが、根っこの部分には、日本と似たような感性があるみたいですね。


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