2018年12月5日水曜日

フィリピン美女の描き方 美女図鑑番外編


趣味で気の向くままに描いたフィリピン美女のイラストを、このブログを通じて紹介している「私的フィリピン美女図鑑」。思いの外、読者の方々からご好評をいただき、止めるに止められなくなってもう1年半。投稿数は40本を超えて、当ブログのメイン・コンテンツになってしまいました。

当初は線画主体に着色した塗り絵っぽいスタイルで、1〜2週間で1枚のペース。ところが、アニメ・ヒロインのリアル版を描き始めた頃からだんだん凝り始めて、今では1枚仕上げるのに丸々1ヶ月は必要。こういうのって一度深みにハマると、リセットできないもの。

この頃は、どうやって描いているのかと、いろんな人からよく訊かれます。「パソコンで描いてます」と答えても、イラストやデザイン関係者でもない限り、具体的なイメージは湧かないだろうなぁ。中には自動描画みたいなプロセスを想像をする方もいるみたい。適当に画像データをアプリに入力したら、フルオートで完成品が出てくる...みたいな感じでしょうか?

コンピューターで絵を描くと言うと、よく知られているのはアドビー・フォトショップ。「フォトショ」の略称で知られ、広告や雑誌表紙を飾るモデルの、体型やメークの編集にも使われます。最近ではあまりに編集精度が上がり過ぎて、何にでも使われるせいか、フォトショ加工してない、モデルさんのすっぴん写真が希少価値を持つほど。


お馴染みフォトショのビフォー・アフター

ところが、私が使っているのは有名なフォトショではなく、デザイン業界などでは「イラレ」と呼ばれるアドビー・イラストレーター。同じアドビー社開発ながら、フォトショップと異なり、輪郭がクッキリしたものの表現に向いています。例えば、私が以前やってた工業デザイン分野の、電気製品や自動車などのスケッチ。あるいはタイポグラフィや、印刷物のレイアウトなど。


出典:Sabine Reinhaet

イラストレーターを本職で使っている人に、美女図鑑はイラレで描いてますと言ったら、大抵はちょっと絶句して「アホちゃうか?」という目で見られます。つまり、自動描画どころか、イラレであんな絵を描こうとすると、ものすごく手間がかかる。

なぜ敢えてイラレかと問われると、好みの問題としか言いようがありません。クッキリハッキリ、明快で分かりやすい絵が好きなんですよ。たとえ陰影にぼかし効果を入れるにしても、偶然に頼るのではなく、理詰めで画面を支配したい。我ながら実に理系な考え方。

そんな私が、今の描画方法を思いついたのは、グレーの紙に黒と白の色鉛筆やパステルで描くデッザンから。通常の白地に黒で濃淡を付けるよりずっと階調が豊かで、深みが出ます。人間の肌を表現するには、かなり有効な手段。


ネットで見つけた手描きのデッサン
グレーの紙に白と黒の鉛筆で描画

実は昨年にも一度、描画プロセスの解説をしたことがあります。ただその時は、だいぶ端折った簡易版。そこで今日は、前回投稿した4人のマーメイドのうちの1枚を例に取って、もう少し詳しく説明をしてみましょう。

まずは背景。
あまり手の込んだことをせず、シンプルに水面から洩れる光だけで、海の中だと感じさせるために、ここだけでもずいぶん試行錯誤。出来上がった後に完成過程を辿ると、簡単に見えますけどね。


次に人魚の輪郭決め。
これもここに至るまでが苦労してるんですが、それは企業秘密。とにかく輪郭形状を決めて、陰影描画の下準備に入ります。まるで等高線みたいに見えるのが、陰影の濃淡の境界線。一番地味で時間のかかるプロセス。


一気に最後のイメージに近づく、陰影のぼかし作業。
先ほどの等高線を、塗り絵の要領で白と黒に塗りつぶし、半透明にしていきます。8〜10段階ぐらいで透過度を調整した後、隣合った部分をグラデーションの手法でぼかし。ちょうど、木炭やパステルで描いた線を、指でぼかして画面に馴染ませる感じ。手描きデッザンと違って、気に入らなければ何回でもやり直せます。



ここまで来たら、完成も同然に見えますね。ところが実際には、修正変更がよく入るのがこのステップ。やっぱりある程度描き込まないと、不具合って見つけられない。これで直せるのも、デジタルならでは。マスキングテープ貼って、エアスプレーで描いていた頃なら、全部捨ててやり直すしか手がないところ。

そして貝殻のブラと、頭髪のハイライト描画。
隠さずに乳首描けよ〜、とオジさんたちの声が聴こえて来そう。そうしたいのは山々なれど、それやっちまうとSNSでシェアしたら、リンク削除されてしまいます。タッチがリアルになった最近は尚更。これはアートだと言い訳してもダメ。なので、やっぱり隠すべきところはちゃんと隠すのが、大人のたしなみ。

さて、頭髪もかなりの手間。髪の毛一本一本、とまでは言いませんけど、それに近いディテール。全体の流れを考えながら、一筋ずつ描いて、グラデーションを付けていきます。



こんなプロセスを、毎回繰り返しているわけです。パソコン使ってても、自動描画とは程遠い、根気と集中力を要求される世界。(それはフォトショップ使っても、似たようなものですけど)

手法はデジタルになったけれど、高校生の頃、美大受験準備で毎日没頭してた、石膏デッサンの訓練が役に立ってます。描くって、対象を理解して自分なりの解釈を加えること。これは手描きでもコンピューターでも、やってることは同じ。

ということで、今制作中の次回作は、年内完成は無理っぽいので、これが今年(2018年)最後の美女図鑑。来年も妄想を膨らませて、セクシーなフィリピン美女をたくさん描いてまいりますので、どうか皆さまのご支援、よろしくお願いしますね。


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