20代や、ティーンエイジャーだった過去4人に比べると、抜群の安定感を誇る40代のライラおばさん。クウェートでの出稼ぎ経験があり、今現在も中学生の息子さんを子育て中。よく喋るし面倒見もいい。
ちょっと気になるのは健康面。年齢的なものもあるのか、乾燥した暑い日が続くと、呼吸器系にトラブル。まるで日本の花粉症みたいにくしゃみと咳。おそらく、サトウキビの焼畑で出る煙に、アレルギーがあるようです。そして今の季節。雨季で朝晩が涼しすぎると、てきめんに風邪を引く。まぁ程度の差はあれ、私も毎年、軽く罹りますけどね。
もう一つが膝の痛み。これは持病のようで、時々右足を引きずって、つらそうに階段をの昇り降り。こういう姿を見ると、病弱な使用人をこき使う、鬼の雇い主になったみたいで、何となく罪悪感。メイドを雇い慣れていない日本人クライアントの気の弱さ。
それでも、不調で休む時は、ちゃんと家内の携帯にテキストが来るのは助かります。月曜から金曜、朝8時半から夕方6時半が勤務時間。なまじ住み込みでないく、近所のおばちゃんが手伝いに来る、みたいな気安さがいいのかも知れません。
この7月で勤続1年を超えて、かなり信頼度も上がってきた矢先、珍しいことに週明け月曜日の無断欠勤。こちらからテキストを送っても返事なし。あれ?どうしたんだろ。事後連絡はあっても、丸24時間も音信不通なんて、今までなかった。
3日連続の無断欠勤になってしまった水曜日。前週の金曜日に、高齢のお母さんが高血圧で、お医者さんに薬を貰いにいくと早退したライラ。最高血圧が240とか言ってたので、これは尋常じゃない数値。ひょっとして、お母さんにもしもの事が...。それよりライラ本人が倒れて、連絡取れないとか。
どっちにしても、いないといろいろ不便なほど、メイド依存率が上がってしまった我が家。最悪のケースに備えて、裏庭でゲストハウス建設中の大工さんに、誰か知り合いや親戚で、メイドさんをやってくれる人はいないか、軽くリクルーティング。
やっとライラからテキストメッセージが届いたのは、水曜日の夜。ずっと膝が痛くて、寝てたんだそうです。携帯が壊れて返信もできず。やれやれ、生きててよかった。
ちなみに「携帯が壊れた」とは、大抵の場合、プリペードのお金がなくなったという意味で使われます。ネグロスでは、月々の携帯契約している人は少数派。私も含めて、街角の雑貨屋さんでも購入できる、プリペード(通称ロード)で電話やテキスト。ネットは屋内のWiFiか、必要な時だけデータ通信をオン。肝心な時にロードが無くなることも多い。
そして6日ぶりで元気に顔を出した、昨日の木曜日。歩き方も普通だし、何もなかったかのように、洗い物に掃除・洗濯をテキパキとこなしていきます。と、それはいいんですが、なぜか仔犬を同伴出勤。
連れてきた白いチビは、ケージに入れられてガレージへ。こうなると先住犬の我が家の飼い犬、ゴマが黙っていません。「テリトリーの侵害だ」とばかりに、吠える吠える。ライラに話を聞くと、隣家で4頭の生まれた仔犬のうちの1頭。もうすぐ完成するゲストハウスの番犬にと、気を利かせて連れて来たらしい。
ドラマなど、身寄りのない子供を引き取るかというシーンで「犬の子じゃないんだから」みたいなセリフを聞きますが、本当の仔犬でも、相談もなしにいきなりは困るなぁ。しかもゴマの弟だから「ゴミ」と、勝手に名前まで付けてる。(ライラは日本語の意味は分かってません)
でも、こういう事って、ネグロスでは結構多いんですよね。何しろ犬好きな人がいっぱいで、自分で飼ってなくても、野良犬に餌をやるのが珍しくない。その割には獣医の数が少なく、去勢することもないから、繁殖し放題。牝犬の飼い主は、年に何回も仔犬の里親を探す羽目になる。また、気安く貰う人が結構いるし。
そういえば、今住んでる母屋が完成した時も、当時のメイド、18歳のカトリーナが仔犬2頭を連れて来ましたね。すぐに死んじゃいましたが。(「引越しおわっても工事中」)
夕刻、家内が帰ってきて、仔犬を見せたら、案の定「ノー・サンキュー」。敢えなくゴミくんは、スーパーのレジ袋に入れられて出戻りと相成りました。ほんまの生ゴミ状態。
その犬を挟んで、ライラと家内が何やら長話してるなぁと思ったら、ライラの膝のこと。なかなか良くならないので、呪医(ウィッチ・ドクター)に診てもらったんだそうです。すると、呪医さん曰く「働いている家にいるカマカマ(子供の精霊で、フィリピン版の座敷わらし)を間違えて蹴っ飛ばしたから、その祟りじゃ」。
ちょっと待て。それなら、我が家にはカマカマさまが住み着いているんですか?
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