生まれて、移住するまでの約50年間、ほとんどずっと日本人ばかりの中で育ち、良くも悪くも日本人独特のコミュニティーにくるまれて生きて来ました。その間、仕事で海外で何ヶ月も出張したり、フィリピン人の配偶者と一緒になったり、日本人ではない人たちと過ごした時間も、そこそこはありましたが、やはり実際に海外に住むことのインパクトとは比べ物になりません。
このブログでは、フィリピンで家を建ててもらっている、フィリピン人の大工さんについて、何度も書いてきました。そこに嘘はないつもりでしたが、まだまだ表層的にしか見てなかったなぁ、と感じたのが先週。
大工という職業は、こちらではあまり厳密な能力評価はない、もっと言うと頑張ってもサボっても変わらない、みたいなことを書きましたが、それでも技能職なので出来る人とそうでない人の差は見れば分かりますし、まず本人が一番よく自覚してます。
時々他所の現場で見かける、サボってる状況は、放置してたまにしか仕事を見ないフォアマン(監督)の責任と言っていいと思います。(これだけを見て、フィリピン人は怠け者だと言うのは、あまりに一面的な見方。そういうことを言ったり書いたりしてる日本人は多いですが…。)
実はウチに来てもらってる大工さん、一律に同じ立場ではなく、専門職とヘルパーに分かれてます。専門職は溶接、左官仕事、高所作業など、どれかあるいはいくつかの技術を持っている人。ヘルパーとは力仕事のみで、土方やコンクリート練り、資材運びだけしかしません。
先月、二階の柱と梁のコンクリート打ちが終わった頃から、監督の父がどうもやる気が落ちてる、頻繁に見て回らないと、仕事せずお喋りしとる、とのこと。心配になって、家内を通訳に、リーダーのリトさん呼んで話てみると、日当に不満があったようです。
それも、日当が安いからではなく、専門職とヘルパーで同額というのが気に入らなかったらしい。専門職からすると「ヘルパーと同じ日当で、やってられるかい」てことなんでしょうね。お金のことは、基本家内に任せているのですが、これにはフィリピン人の家内も「しまった」と思ったようです。話し合うって世界のどこでも大切ですね。
いくら低賃金で働いていても、モノ作りに携わる人のプライドは、侮れません。自分もちょっと前までメーカー勤務だったので、この感覚は、言われてみればよくわかります。しかも、フィリピン人は特に呼称や肩書き、権威の類いにすごく敏感です。
そこで、今さらヘルパーの人の日当を下げるわけにはいかないので、専門職の人への金額をほんの少し上げることにしました。(ほんとにほんの少しです)もともとリーダーのリトさんには、少し高めに支払ってたので、これでこの小さな職場で日当が3段階になったわけです。
これをリトさん経由で聞いた大工さんたち、一挙にモチベーションが上がりました。父も驚く頑張りぶりで、3月中には何とか終わらせたいという希望も、現実的になってきました。
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