2018年2月28日水曜日

フィリピン・オーディオ事情

前回は、フィリピン美女図鑑に名を借りて、30年前のオーディオについてノスタルジックに語ってしまいました。ほとんどフィリピンとは無関係な話になってしまったので、今日は、フィリピンの現在のオーディオについて。

オーディオ機器の音質を表現する時に「ドンシャリ」なんて言い方をします。低音がドンドン、高音がシャリシャリの、ディスコやポップス向きのサウンド。昔のオーディオマニアのように、クラシックやジャズを好み、原音再生を理想とする人からは、中音域が貧弱で、子供っぽくて低俗と言われてしまうような音作り。

このドンシャリこそが、典型的なフィリピンのオーディオ・スタイル。だいたい、ディスコ・ミュージックやポップス以外の音楽を、フィリピンで聴いている人がいるのかと思うほど。ちなみに私は、クラシック大好き。ドビュッシー、ラヴェル、ラフマニノフにチャイコフスキーなど、ピアノ曲もシンフォニーも、わりと頻繁に聴いてます。

でもクラシックを居間や車の中でかけると、フィリピン人の家内からは大ブーイング。特に声楽をずっと聴かせたらイライラしだして、マジ切れされてしまいます。最近では家庭の平和のために、自室で一人の時にしかクラシックは聴きません。

これは家内だけではなく、私が知る限り、クラシックを愛好するフィリピン人は少数派。ジャズ好きは、そこそこいるようですが、外を歩いていて聴こえてくるのは、ディスコで流れるような曲ばかり。それも、大音量。

かつて、東南アジア向けテレビの商品開発に携わっていた頃、マニラの電気屋さんで、実際にお客さんがテレビを購入する場面を見たことがあります。画質の確認だけでなく、ほとんどの人がボリュームを最大まで上げて、音割れしないかどうかをチェック。

日本だったら、まずあり得ないような使い方。テレビにしてもオーディオ機器にしても、一般の住宅で、音量マックスの聴き方をする人が、かなり多いんですよ。そう言えば、我が家の新築工事の時も、大工さんが一日中でっかい音で音楽を聴いてましたね。

まさにノーミュッジック・ノーライフな人たち。しかもドンシャリ命。そんな場所で人気のあるオーディオといえば、やっぱりデカい方がいい。近頃のものは、小さい製品でも十分な音質も音圧もある。でも本気で自宅の庭でディスコやカラオケ大会をやろうかという使い方だと、それでは満足できない人もいるようです。

こっちで見かけたソニーの製品。現地テーストに合わせて、ちょっとした金庫ぐらいありそうなサイズに、機能的にあまり意味があるとは思えない電飾付き。音も外観も実に派手。何となく暴走族とか、トラック野郎のセンス。


ここまで大きくなくても、昔ながらの大きなラジカセと似たサイズ、英語ではブーンボックス(Boom Box)と呼ばれるスタイルも、根強い人気があるようです。もちろんカセットデッキはなくて、スマホから再生できるブルートゥース対応のものが主流。


シャープ製のブーンボックス
衝動買いしそうになりました

こうして見ると、フィリピンでは今でも、オーディオ機器は十分ステータスシンボルになり得る、憧れの商品なのかも知れませんね。


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