2018年4月1日日曜日

ハッピー・イースター


主のご復活、おめでとうございます。
例年のごとく、カトリック式イースターの挨拶。宗教的な意味合いからすると、クリスマスよりも重要なイースター。キリストの復活を信じるかどうかが、カトリックを始めとするキリスト教信仰の核心。

と、大抵の信徒や聖職者はそう言うものの、やっぱり単なる年間行事として見ると、カトリック大国フィリピンでも、商業的にはクリスマスほどの盛り上がらないのが正直なところ。クリスマスは4ヶ月も前から、デコレーションやらセールが始まり、1ヶ月前の降誕節(アドベント)にもなれば、あちこちで前倒しのパーティ。

それに比べてイースター。やっぱり誕生日のお祝いではなく、救世主の死というのは、大騒ぎするようなことではありません。イースターに先立つ1ヶ月半前の灰の水曜日と、イエスが磔刑に処せられたとされる聖金曜日は、カトリック用語で言うところの、大斎(だいさい)か小斎(しょうさい)を守らないといけません。これは、断食を模した一種の食事制限。

大斎とは、18〜60歳の信徒が、1日1回だけ十分な食事をして、その他の2回は僅かに摂る。小斎は14歳以上に課せられた「肉断ち」。どちらも妊娠や病気など、理由がある人は除外されます。特にイースター1週間前の聖週間は、飲み食いだけでなく、歌舞音曲を控える雰囲気があって、たまたま誕生日と重なった場合、イースターまでパーティを延期することが多い。

つまりイースター前は、喪に服しているようなもの。さすがのフィリピン人も、イースター・セールと銘打って、大安売りしたりするわけにもいかないでしょう。豚や牛はダメでも鶏はOKと言って、聖金曜日なのに屋台で鶏の唐揚げを売ってたりしますが、少なくとも日本のカトリックで、そんな都合のいい話は聞いた事がない。ちなみに魚は許されます。

ただし、教義に超厳格な信徒の多いイスラムとは違い、ダダ漏れユルユルのフィリピン・カトリック。大斎・小斎を守らなくてもお咎めがあるわけではありません。金曜日にイエスが亡くなって、土曜日には神さまがいないから、悪事を働いても大丈夫、なんてタチの悪いジョークを飛ばしたり。

というわけで、やや重苦しい雰囲気の聖週間が終わる、土曜日の夜。(ユダヤでは1日の始めは前日の日没から)教会では復活の徹夜祭と呼ばれるイースターのミサが行われ、年明けほど派手ではないけれど、花火が打ち上げられます。

数日間は沈黙していたラジオの音楽番組は元に戻り、街並みにもいつも通りの喧騒。そして我が家では恒例となった、親戚を招いてのイースターのランチパーティ。日本にいる時には忘れかけてた感覚。やっぱり季節に応じて、毎年同じメンバーと一緒にお祝いをする、というのは悪くない。ホームパーティを楽にできるサイズの家を建てて良かったと、しみじみ思う瞬間です。



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