2017年12月22日金曜日

フィリピン通いは献血不可?

日本に住む私の友達で、献血への協力を惜しまない人が何人かいます。採血後に、お菓子や飲み物が貰えるとは言っても、基本は無償奉仕。年に1回や2回ではなく、表彰されるほど頻繁に献血してるなんて話を聞くと、まったく頭が下がります。

フィリピンでもボランティア献血は奨励されていますが、需要の100パーセントを満たすことができず、まだ民間血液銀行では有償での採血、いわゆる「売血」があるらしい。日本でも1950〜60年代には、売血が横行。その結果、医療現場で、薬物中毒者や感染症患者の血液が使われることもあり、輸血後、肝炎の発症が多発。暴力団の資金源にもなり、1969年に日本での売血制度は廃止に。

半世紀前の日本と同様のことが、現在もフィリピンでは起こっていて、つい数年前も衛生上の問題から、マニラ首都圏で複数の血液銀行が閉鎖されたとの報道がありました。

ところで現在の日本では、フィリピンなどの海外渡航歴があると、場合によって献血を断られることがあるのをご存知でしょうか? 実は私、フィリピン人の家内と結婚し、年に1〜2回フィリピンへ渡航していた時期に、そういうことがありました。

性病の疑いでもかけられたのかと、少しムっとしたり。しかしそういうことではなくて、輸血によるマラリアなどの感染を防止するための措置。マラリアは、マラリア原虫を持った、雌のハマダラカに刺されることで感染する病気。2013年の統計によると、全世界で年間約2億人もの罹患者を出し、死者は62万人以上。現代の人間にとって脅威になるのは、肉食の猛獣や毒蛇ではなく、蚊だと言われる所以です。

厚生労働省検疫所のホームページによると、マラリア感染リスクのある地域として、フィリピンを含む東南アジアのほぼ全域、インドなどの南アジア、アフリカのサハラ以南、南米の一部となっています。日本でも1年間に、こうした地域への渡航者約100名が感染しているとのこと。


日本赤十字社の基準では、フィリピンはマラリア感染リスクはあっても、たいへん低い(Very Low)B地域。リスク行動(森林地帯などでの滞在)がないと判断され、帰国後4週間以上経過していれば大丈夫。でも実際の献血現場では、1年以内にフィリピン渡航歴があったというだけで、断られることもある。私が引っかかったのはこれです。

そして、滞在期間が1年以上、つまり現在の私ですが、帰国して3年以上の時間が必要となります。これはマラリアが、症状が治まったように見えても、数年間も血液中に潜伏する可能性があるからでしょう。

正直に白状すると、最初は気分を害したものの、それ以降は献血を断る口実に使わせてもらいました。と言うのは、私が所属していた会社では、毎年ほとんど強制的に30代以下の社員に献血を指示。今思えば、もう人権侵害。それでなくてもヘソ曲がりな私は、微力ながら会社への抵抗として、フィリピンをダシにしていた次第。

ということで、今日はフィリピンと献血のお話しでした。

【追記】
1年以内にフィリピン渡航歴がある人、すべてが献血できないわけではなく、リスク行動の有無、滞在期間などで、担当者が判断するものです。私の場合、たまたまちょっと厳しい方だったので、断られたのでしょう。以後は、私が会社に対して断るための方便にしただけで、毎回ダメだったという意味ではありません。
読者の方から、誤解を招くとのご指摘がありましたので、追記させていただきます。


0 件のコメント:

コメントを投稿