2018年7月1日日曜日
ボランティアの難しさ
フィリピンは、青年海外協力隊や、各種NGO(非政府組織)・NPO(非営利団体)の活躍の舞台、という印象を持つ人も多いでしょう。貧困のため満足な医療や教育、福祉の恩恵を受けられない人々を助けるため、あるいは自然環境保全や、社会インフラの発展のために、多くの日本人が渡航。
私の友人の中にも、以前協力隊の一員としてフィリピンに数年滞在した人がいますし、このネグロス島にも複数の日本NGOが拠点を置いています。
こうした活動に欠かせないのが、ボランティアの存在。インターンの学生さんだったり、英語留学の合間に参加する社会人だったりの、フィリピンのために少しでも役に立ちたいと願う人たち。我が家にもボランティアの方が、よくお見えになります。
ただ一口にボランティアと言っても、ちょっと興味を持ったので、1週間ぐらいお手伝いのレベルから、何年もネグロスに腰を据える現地スタッフまで様々。本気でやるなら、何がしかの専門能力は必須だし、英語だけでなく、地元の言葉でのコミュニケーションも求められる。
私も移住当初は、すぐ近所に事務所を置いていたNGOに、ボランティアとして協力してました。地元の農作物を活かした、オーガニック・カフェの開店に向けて、私の専門であるデザイン面。店の看板、ロゴ、メニューのデザインから、内装や家具選び。
ところが、しばらくして分かったのは、このNGOの日本人マネージャーという人物が、たいへんな食わせ者。お祭りの屋台で、ローカルスタッフを徹夜で働かせて、その収入はポケットに入れてしまうわ、日本人ボランティアに仕事を丸投げして、自分は地元で知り合った恋人と遊び歩くわ。
私への要求も、どんどんエスカレート。深夜までかかって仕上げた仕事でも、平然とやり直しをさせるし、自分が招集をかけたミーティングに、1時間も遅刻。しかも一言の謝罪もなし。
半年後、ついにキレて絶縁。もうボランティアは懲り懲り。それでも別のNGOから、デザイン関連業務の依頼が来るので、今度は安価でもちゃんと報酬をいただくことを条件に引き受けました。
とは言っても、日本国内の業者に比べれば、桁違いの超良心的価格。相手に金がないのは分かってますからね。私にすれば、無茶振りされないよう、わずかな歯止めを設けただけで、事実上のボランティアみたいなもの。
...のつもりだったんですが、何件か仕事をこなした後に、別の業者さんと相見積もりを出せとの指示。要するに値引きをして欲しいということ。もうアホらしくなって、それならお好きなようにと、返事もせずに放っておきました。
しばらくすると、案の定、やっぱりこちらでお願いしますとのメール。そりゃそうでしょう。あんな値段で引き受けるプロがいたら、私がびっくりしますよ。
ボランティアに関わりを持つのは、本当に難しいものですね。
それよりも最近思うのは、そもそもフィリピンを助けようなんて言ってるどころじゃなく、日本の方が危なくなっている。
ワーキングプア、つまり職があるのに生活が苦しいという人が、一説によると1000万人を超えて、全労働者の実に4人に1人。さらに子供の6人に1人が貧困だという、恐るべき数字もあります。
若い日本人が、こんな辺鄙な場所を訪ねてくれるのは嬉しいけれど、わざわざ外国でボランティアをする暇があったら、同胞のためにできることを探した方がいいんじゃないか?と思ってしまいます。
場所:
フィリピン シライ市
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