2018年7月19日木曜日

ちゃんと調べて書かんかぃ 【追記】あり


ここ数年、ドゥテルテ大統領の派手な言動のせいもあって、フィリピンに関する日本語の記事をネット上でよく見かけます。また英語留学でネグロス島を訪れる若い日本人が増え、その体験談の投稿も珍しくない。

フィリピン在留邦人として、またネグロス在住者としては、この国や島のことを、良いことも、そうでないことも、一人でも多くの日本人に知ってもらえるのは喜ばしいこと。その意味で、私も毎日せっせとこのブログを書いているわけです。

ただ、事実関係や文言、数字などの間違いは、どうにも頂けない。例えば、英語の勉強でネグロスに滞在した若者が、シライについて書いたブログ。とても好意的にシライの紹介をしてくれるのはいいけれど、「シライは東洋のパリと呼ばれて...」なんて記述。

それは「ネグロスのパリ」Paris of Negros のこと。この呼称、ネグロスではよく見聞きするし、シライ市の公式サイトで使ってるぐらいなので、地元の人には有名なキャッチフレーズ。これを堂々と間違えるのは、かなり恥ずかしい。

東洋のパリと言えば、ベトナムのホーチミン(サイゴン)や、カンボジアのプノンペンでしょう。かつては仏領インドシナだったベトナムとカンボジア。美しい街並みを見たフランス人が、そう言い広めたのかも知れません。

また山間部のパタッグ地区は、太平洋戦争中に多くの日本兵が飢餓や病気で命を落とした場所。投稿の中でその事実に触れるのは感心ながら、「何十万人の日本兵が、ここで戦死して...。」と大間違い。

当時ネグロスに駐屯していた日本の軍属は、約1万4千人だと言われています。そこにいたより大勢の人が死んだことになっている。おそらくこれは、フィリピン全土での日本人戦没者がおよそ50万人という数字を、ごっちゃにしてしまったんでしょう。

ネグロス島の、しかも州都でもない地方都市のシライなんて、日本では名前さえ知る人は少ない。でもだからこそ、そこについて書くんだったら、細かいことまで注意するべき。たとえ素人の投稿でも、それは最低限の心がけ。

こんな初歩的なこと、ちょっとググればすぐに分かるはず。手前味噌ながら、私がこのブログを書く時は、ずいぶん下調べしてるんですよ。日本語で書かれたものとしては、数少ないネグロスやシライの情報源なので、これからネグロスに渡航しようとする人が、結構高い確率でアクセス頂いている。やっぱり責任を感じます。

さらに、プロの記者が書いた文章でも、時々ひどいのを見かけます。その一つが、日本人男性と結婚して18年、子供を3人産んで、夫の暴力と貧困に苦しむ在日フィリピン女性の話

これを読んだ、日本に長く住むフィリピン人の女友達によると、日本語を覚えるでもなし、受けられるはずの日本の行政支援について、何にも知らなさ過ぎだと、憤るような記事。まぁ30年も日本で暮らして、たくさんの同胞を支援をしてきた立場からすると、あまりに依頼心が強く、自立することができないフィリピン人に対して、苛立ちを感じるんでしょう。

そんな突っ込み所満載の内容だけならともかく、「フィリピンには離婚の概念がない」「一夫多妻が認められている」「日本では興行ビザの制度が廃止された」と、事実誤認のオンパレード。誤認どころか、意図的に嘘を吐いているんじゃないかと、呆れかえってしまいます。

確かに離婚(Divorce)は法的には認められていなくても、別居〜事実上の離婚〜(Separate)は多い。最初の配偶者や子供とは別に、新しいパートナーと暮らし、普通に子供も作っている人はいくらでもいます。また一夫多妻なんて噴飯物。フィリピンには、(建前上は)厳格な一夫一婦制を守るカトリック信徒が、人口の8割もいるんですよ。

興行ビザも、アメリカ政府からの人身売買だとの批判を受けて、フィリピン人への発給はかなり制限されてますが、制度自体は今だってちゃんとあります。

人様に読んでもらうつもりで、ネットで自分の文章を公開するんだったら、ちゃんと調べてから書かんかぃと、ドヤしつけたくなる。こういうことをするから、間違った知識に基づいて、ネット上でデマを拡散する人が出てくるんでしょうね。

それでなくても、何かと日本でのイメージが悪いフィリピン。フィリピン人に接したり、フィリピンに渡航・居住する人は、ある意味、日比の架け橋になる。ネット上での発言には、もう少し慎重になってほしいものです。

【追記】
日本人弁護士で、フィリピンの法律に詳しい方から、フィリピンでもイスラム教徒に限り、複数の妻を持つことが許されているとの指摘をいただきました。私こそ、ちゃんと調べて書かないといけませんね。申し訳ありません。

ただ、問題の記事では、人口の10パーセントに満たないイスラムの人々にのみ認可という背景には、一切言及がなかったので、やはりこの書き方では、徒らに読者の誤解を招くだろうと思います。


3 件のコメント:

  1. 初めまして、Jimmyと申します。
    いつも楽しく拝読させて頂いております。
    バコロドエリアの下見をしたいのですがお会いする事は可能でしょうか?
    宜しくお願いします。

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    1. 返信が遅くなり、失礼しました。
      Jimmyさんは、フェイスブックなどのSNSのアカウントをお持ちですか? よろしければ、ここへのコメントでそのアカウントか、メールアドレスを教えてください。コメントは公開しなければ、私だけが読むことができますので。

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  2. なので、ネット情報を元にアクションを起こす際には、二重三重の確認が必須ということになりますね。得体の知れない書き込みにを鵜呑みにして、誰かを非難する人が多すぎる気がします。

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