2018年7月22日日曜日

チャイナタウンと生活保護


前回投稿の「部族主義の蔓延」で、日本の移民受け入れについて書いたところ、せっかく冷やした頭に、再点火するようなコメントが付いてしまいました。「池袋の状況、生活保護受給者の民族の割合を見てから投稿しろ」なんだそうです。図らずも、部族主義者がどれだけ蔓延っているかを、自ら証明したような言いぐさ。

まず池袋の件。1980代年以降、中国の改革開放政策の後に日本に移り住んだ、いわゆる「新華僑」の人々。彼らが中心となって作り上げたのが、池袋チャイナタウン。世界の中華街に精通する、立正大学教授の山下清海氏によって命名されました。

この新風景、確かにまるで日本とは思えないような感じはするものの、こういった中華街は、古くから世界各地に点在し、取り立てて大騒ぎするようなことでもありません。アメリカにもヨーロッパにも、東南アジア諸国、フィリピンのマニラにも。ここネグロス島の州都バコロドにだって、街の一角に中国語の看板が溢れかえるチャイナタウンがあるぐらい。

さらには、神戸や横浜には昔から華僑の街があって、観光スポットとして賑わっている。これを見て、日本が中国人に乗っ取られていると騒いだら、頭がおかしいんじゃないかと言われるでしょう。

もし違法滞在者や土地を違法占拠した外国人が集まっているんなら大問題ですが、合法的で、訪れた客が日本人であっても、普通に物品の販売や飲食サービスを提供している。地元経済を活性化させて、納税もしているのに、一体何が気に食わないのか、訳がわかりません。

数は少ないけれど、海外で暮らす日本人だって、同様に日本人街を作っています。移民というのものは、どうしても元から住んでいる人からの、偏見や差別にさらされやすい。自分たちの身を守るため、あるいは食べ物など、少しでも自分たちの文化にくるまって快適に過ごすため、同胞が固まって住むのは当たり前。

この気持ちは、ネグロスに住む日本人の私には、痛いほどよく分かります。

そして、生活保護の話。中国籍や韓国・朝鮮籍、フィリピン国籍の人も受給しているのは私も知っています。でも厚生労働省のサイトで調べてみたら、全受給者の約216万人中、外国籍は約7万3千人(2015年)で全体の約3.4%。受給者の半数以上が外国籍なんてデマもいいところ。

念のために書いておきますが、外国籍の人が受給すること自体は、何ら違法でも不正でもなく、正規の在留資格を有していて、所定の条件に当てはまれば、日本人ではなくても制度が準用されるのが、日本の生活保護。これは人道上の観点から、定められています。

むしろ、あまりに不正が不正がと騒ぎ過ぎて、本来保護を受けるべき状況の日本人が受給できず、捕捉率が2割に満たないとも聞きます。東京都江戸川区の職員が、受給者の弱みにつけこんでセクハラをしたなんて、情けないニュースも。

これは、チャイナタウンにしても生活保護にしても、日本人の不寛容さ、ここに極まれりの感。そりゃ中には違法行為に手を染めたり、意図的に不正受給を狙う人だっているでしょう。そんなの日本人だって同じこと。マニラに住む日本人にも、とんでもない輩がいます。

異文化に属する人たちが、同じ国、同じ街に住めば、ある程度の摩擦や衝突が生じるのは仕方がない。私もフィリピンに住んで、それを日々実感しています。音楽がうるさいとか、約束の時間を守らないとか。

だからと言って、それを相手が悪いと全否定するのではなく、折り合いをどうつけるかを考えるのが建設的な態度というもの。前回の投稿で、日本は移民を受け入れないと、この先難しいという趣旨のことを書きましたが、何の準備も対策もなしに、無条件で誰でも受け容れろという意味ではありません。

双方がお互いの文化や習慣を尊重し、折り合いをつける道を探すこと、具体的には相手のことをよく知るための、教育や学習が不可欠となるでしょう。対立や拒絶からは何も生まれません。共存こそ、日本の将来を明るくする唯一の道だと思いますよ。


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