2018年7月15日日曜日

資産価値が上がる家


前々回、フィリピンの戸建て住宅は、建てることも大事だけど、メンテナンスはもっと大事という投稿をしました。実は我が家のメンテナンス、今また工事の真っ最中。

今回のは、水が漏ったとか、どこかが壊れて修理ではなく、小規模なリノベと呼ぶべき案件。フィリピン独特のキッチンスタイルで、昔の日本ならば「土間」に相当するような、ダーティ・キッチンに手を加えてます。

最初の設計では、盛り込まれいなかったダーティキッチン。「汚れた台所」とはすごい名前。これは、煙や臭いのある調理や、ホームパーティでたくさんの洗い物が一度に出る時のための、半分屋外の補助キッチンみたいなもの。

自宅の着工前、移住後1年間住んだ借家での経験から、網で魚を焼いたり、あるいはメイドさんに料理や洗い物を手伝ってもらうには、やっぱりこれは便利と気付き、かなり直前になって急遽プランに付け加えました。

そんな経緯だったので、ちょっとやっつけ仕事になってしまい、屋根はスチール瓦を葺かず、コンクリートで急拵え。広さは2畳分ぐらいだし、まぁいいか。

ところが外観がもう一つだし、軒幅は30センチぐらいしか取れず、強い雨だと盛大に吹き込んで来る。それだけではなく、1年経ってからダーティキッチンの傍に設置した発電機。面倒なことに、落雷に伴う停電時には、土砂降りの中を傘を片手にエンジンを掛けなければいけません。

そこで、ずいぶん長い事考えた末、竣工4年目の今年、ダーティ・キッチンに1.2メートルの少し深めの軒を設けるため、屋根を増設してもらうことにしました。工事を請け負ってくれるのは、例によって我が家の守護神、大工のアントニオくんとその仲間。

もうお互いによく知っているので、私が自分で描いた図面...というより走り描きのスケッチみたいなもので発注。日本だったら絶対にできない気軽さ。しかもこの絵一枚で、鉄骨の組み方や軒天井の取付け方法など、頭の中で暗算。見積もりもしてくれるし、材料もちゃんと買って来てくれるのがすごい。


フィリピンの場合、初めての大工だったら、現金渡して材料を買ってもらうなんて、まず恐ろしくて無理。持ち逃げはしないまでも、質の悪い品を掴まされたり、思っているのとは全然違うものを買ったり。もうアントニオ様々です。

というわけで、工事が始まって約1週間。私のイメージ通りに、ほぼ骨組みが出来上がり。次はトタンを張って、石膏ボードの軒天井。同様の仕事を2階のベランダ屋根で一度お願いしているので、頼んだ方も先が読めて気が楽です。




下に見えている、お地蔵さんの
祠みたいなのが発電機の囲い

日本では建築関係の経験は皆無でも、電気製品のデザイナーだったので、簡単な図面ぐらいは描けます。作り手が理解しやすように、完成形状を伝えることが主眼。正式な建築図面は描けなくても、勘所はだいたい分かる。意外なところで昔の知識が役に立つもの。

オーナー自らが絵を描いて発注することはないにしても、フィリピンの住宅は、小まめに手を入れてメンテナンスやリノベをすれば、通常は何年か住んでいる方が、資産価値は上がるようです。要するに、初期不良が出て当然のフィリピンの施工。出来てすぐの方がリスクが高いということらしい。

だいたい、どんな住宅でも新築の値段が高くて、時間と共に資産価値が下がる一方の日本が特殊。欧米では、何年も使われている住宅は、それだけ堅牢で、住みやすく手直しされていると考えるのが一般的。立地が良くて、手入れが行き届いていれば、購入時より高く転売できるのは、珍しいことではありません。

今のところ我が家は、少なくとも私が生きている間に売るつもりはないけれど、状況が変わったり、子供や孫の代になってから売るとなっても、安値で買い叩かれることがないよう、無理のない範囲で居住性の向上を目指したいですね。


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