2018年7月25日水曜日

食べ物には保守的なメイドさん


2年以上住み込みで働いていたメイドのネルジーが、帰省したままあっけなく辞めてしまい、やっと見つけた19歳のジャジャは4日間でギブアップ。その後にやって来た、真打ちのライラおばさん。気が付いたら、今日でもう3週間が経過。

私より干支が一回り若い、と言っても43歳。クウェートでの家政婦経験もある超ベテラン。最初がたまたま大掃除のタイミングで、いきなり重労働だと、またすぐに辞めてしまわないかと家内の心配も何のその。瞬殺で全部片付けて、涼しい顔。

その後は、特に指示をしなくても、掃除・洗濯・洗い物、何でもソツなくやっつけて、ご飯を炊くタイミングや、弁当の配達、子供の迎えなど、我が家の家事ルールも最初の数日で全部マスター。私が忘れてても「旦那さ〜ん、今日は何合炊きますか〜」と訊いてくれる。ネルジーがこうなるまでは、1ヶ月ぐらいは必要でした。

そして助かるのは、ちょっとした食事なら、大雑把に頼めば、手元にある材料を見繕って適当に料理。三枚下ろしは無理でも、フィリピン式の魚の煮付けも揚げ物も、だいたいレパートリーに入ってます。ここ一ヶ月ほどはリノベ工事中でなので、大工さん用の昼食は主にライラ担当。

平日に所用で休みを取ったので、その振替で土曜日に来てもらった先週末。家族の昼食用に、クウェートで覚えたという、鶏肉と米を使った料理を振る舞ってもらいました。シナモンの香りが効いてて、結構美味しかったですよ。

そんなライラなんですが、自分が食べることについては、思いの外に保守的。好き嫌いとはちょっと違うようで、初めての素材や味付けには慎重な姿勢。焼魚や炒飯、ポークアドボ(豚肉の酢醤油煮込み)など、ネグロスで馴染みのある料理ならば、私の手によるものでも躊躇なく食べるけれど、味噌汁とかお好み焼き、ホワイトシチューみたいに、見たことがないものは、味見もせずに笑顔で拒否。おにぎりもダメでしたね。

時には、自分で冷蔵庫の奥から干し魚を探し出して、「私のお昼は、自分でこれを料理しますから」なんてことも。ちょっと傷つくなぁ。

ただこれは、ライラに限ったことではないようで、貧困とまではいかなくても、お金に余裕のない家庭で育った人は、食べ物に保守的な傾向が見られます。おそらく外食の機会が少なく、トロトロ(フィリピン独特のお惣菜屋さん)かファーストフードぐらいしか知らないから。

ある程度裕福な層ならば、比較的頻繁に日本食など外国料理に接っしているし、特に学歴の高い人ほど、何でも食べてみようと好奇心が旺盛。フィリピン大学卒の家内の友人たちには、私の作ったものが結構人気だったりします。美味しいからというより、物珍しさなんでしょうね。もちろん不味ければ食べてくれませんが。

観光地でなくても、世界中の料理が(日本風にアレンジしてますが)そこそこの値段で食べられるという点では、日本は世界でも珍しい国と言えるかも知れません。

それはさて置き、ライラには、昼食と夕食を毎回手伝ってもらっているので、材料を刻んだり鍋番したり。プロセスを全部見ているせいか、段々と警戒心も薄れて来た様子。そこで昨日、満を持して、とは少々大げさながら、前日の残り物のカレーを勧めてみました。

ネグロスでも輸入食材があるスーパーなら、普通に入手可能な日本製のカレールー。クウェートに住んでた経験があるので、スパイシーなものは大丈夫。まぁ、ゴールデン・カレーの中辛なので、辛さも知れたもの。ライラには、メヌード(トマトソースで煮込んだフィリピン式のシチュー)に、ちょっとスパイスが入ったようなものだと説明しました。

雇い主とは同じタイミング、同じテーブルでは食事を摂らないという、メイドのマナーには厳しいライラ。食べてるところは見なかったけれど、たくさんの白米と一緒に完食。良かった〜。

別に無理矢理、雇い主の料理をメイドさんに食べさせる必要はないし、こちらでは、わざわざメイドには、質を落とした食事を用意させる人もいるぐらい。家内によると、ひどい家では、安い米に塩だけなんてこともあるらしい。(よく考えたら、おにぎりと一緒か?)

今までは全部住み込みメイドで、家族と同じものを食べてもらっていました。そういう所に線引きするのは、メイド文化に慣れていない私としては、あんまり気持ちのいいものではありません。それに、今後は日本っぽい味付けも覚えてもらって、日本食も作ってもらいたいですし。


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