2018年7月20日金曜日

フランス代表GKはフィリピン人

実は私、大学生の頃には一時期サッカー部に所属しておりました。と言って、上手いわけでもなく、卒業前に辞めちゃった不良部員。

そんな経緯で、サッカーにはそこそこ興味もあったけれど、最近の日本のサッカーは、ピッチ外での選手や監督の報道が少々鬱陶しい。特に移住してからは、変なナショナリズムを応援に持ち込む風潮もあって、やや敬遠気味。過熱するサッカー騒ぎに、嫌気がさしておりました。

フィリピンでは、バスケットボールやバレーボールに比べると、サッカー人気はそれほどでもない。義弟が趣味でやってたり、隣街の州都バコロドに本拠を置く、プロチーム(フィリピン・フットボール・リーグ)のセレスが時々試合をしてますが、ワールドカップで盛り上がったという話は、あまり聞かないですね。

そしてフランスが、20年ぶりに優勝して終わった2018年大会。フィリピン人の友達から聞いた話では、何と、そのフランス代表のゴールキーパーが、フィリピン人だというのです。

ほんまかいなと思って調べてみたら、第3の控えながら、アルフォンス・アレオラという、フィリピン人を両親に持つ25歳の選手が、ちゃんと登録されてました。英語版ウィッキペディアによると、フランスとフィリピンの二重国籍を持ち、6歳からサッカーを始めたとのこと。


出典:Daily Star UK

2013年のU20ワールドカップのトルコ大会で、決勝で3本のペナルティキックを止めて、優勝に貢献。現在パリ・サンジェルマンFCに所属するプロ選手で、なかなか素晴らしい経歴。フィリピンでも、ナショナルチームに参加する資格があるそうです。

改めて今大会でのフランス代表の顔ぶれを見ると、レギュラーにも移民系と思われる人が多いですね。20年前の主力メンバーだったジネディーヌ・ジダン選手も、アルジェリアからの移民の子供。「北アフリカ移民の星」と言われました。

だからと言って、フランスがことさら移民に優しいかどうかは分かりません。19世紀後半に人口が大幅に減少し、主に北アフリカからの移民を大量に受け入れたフランスでは、ざっと人口の10人に1人が移民。それに全国民が無条件に賛同しているわけではなく、今でも「移民が多すぎる」との声があるらしい。

サッカーのフランス代表にしても、移民系の選手が多いのは、単に実力のある人がたまたまそうだっただけでしょう。移民に対する差別や偏見が皆無とも思えないけれど、少なくとも出自に関係なく、実力次第で国の代表になれる社会を作ったことは、賞賛に値すると思います。

さらに有史以来、中国系、インド系など、多くの移民で成り立ってきた国フィリピン。前大統領のベニグノ・アキノ氏は中国系で、結果的とは言え、スペインの血や文化も大量に入っている。そして現在も外国人との結婚に、ほとんど抵抗感がないお国柄。ネグロスの我が家にも移民の子供が一人おりますな。

翻って我が母国を思うと、移民政策に関しては、フランスやフィリピンに学ぶことはたくさんある。労働力も総人口も減っていく、防ぎがたい現実を直視すれば、今や移民を認めないわけにはいきません。

ここまで追い詰められいるのに、国外から労働者には来て欲しいけど、定住されては困るなんて、都合のいいことを言ってる日本の為政者。相変わらず難民はほとんど受け入れないし、入国管理局の外国人の扱いなんて、もう非人道的なレベル。一般国民にしても、「在日」を蔑称に使う輩が、リアルでもネットでも野放し。

このところテレビなどで活躍する、日本・フィリピンのハーフタレントも、子供の頃に差別やいじめの経験者ばかり。直近では、ミス・ユニバースの日本代表に選ばれた宮本エリアナさんが、日本国籍で完璧な日本語を喋り、日本の文化も当たり前に理解しているにもかかわらず、ハーフというだけで、日本代表にふさわしくないなんて言われました。

因みに2015年のミス・ユニバースの栄冠に輝いた、フィリピン代表のピア・ウォルツバックさんは、お父さんがドイツ人で生まれもドイツ。エリアナさんの代表選出に文句を言った人たちは、知らないだろうなぁ。

もう「純粋な日本人」なんて幻想は、捨てるべき。日本人そのものが、大陸や半島からの渡来人の末裔なのは、遺伝子を調べれば分かることだし、明治以前の先祖がどこから来たか、ちゃんと分かってる人の方が少ない。いい加減に、せめてフランスやフィリピン並みの常識は、身に付けましょうよ。


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