前回、サッカーのフランス代表チームのメンバーに、フィリピン人がいるという話をベースに、移民について書きました。すると、日本が移民を受け入れたら、中国や韓国に国が乗っ取られてしまうとのコメントが。
久しぶりに怒り心頭。今の日本って、そんなことを平気で言う連中が、少なくないんだよなぁ。もしこれが、中国・韓国に何度も渡航し、北京官話もハングルも自由に使いこなせて、そこで政治家や経済人に友人がいるような人物のコメントだったら、私も襟を正して拝読しようというもの。
でも、こういう輩って、自分の思考や経験で導き出した内容を語る人はまずいなくて、どこかのデマサイトに書かれた流言飛語の類や、ケント・ギルバートの嫌中韓本の受け売りばかり。
そして今日、偶然まったく別の記事を読んでいて、「部族主義」という言葉を目にしました。これは、資本論で有名なマルクスとエンゲルスが、1848年に著した「共産党宣言」の冒頭に用いたもの。
部族主義とは、言語・文化・宗教などを共有する部族が、それが唯一正しいものと信じ、他部族を否定・排除する態度や精神を指します。記事ではトランプ大統領が、部族主義に陥っているとの論旨。以下、一部引用です。
自分が100%正しいと思いこみ、相手を完全に否定する政治。最たるものが、アメリカのトランプ大統領だろう。既存の政治制度への不信を煽り、人種的偏見を容認し、都合の悪い事実を認めず、ひたすら「敵」への憎悪を煽る。そこには「他者との共存」という視点はない。これはトランプ大統領への批判ですが、そのまま日本の現状に当てはめても、まったく違和感がないのが恐ろしい。日本は100%正しく、中国・韓国は、ひたすら反日を国是とする「敵」で、労働人口の減少による自国の衰退という事実には、目を背ける。そこには在日外国人との共存という視点はない。
と、かなり頭に血が上った状態で書いてきたものの、現実的に考えてみれば、1980年代ならばいざ知らず、今の日本はたとえ移民を全面解禁したところで、大陸や半島から人々が大挙して押し寄せるほど、魅力のある国とは思えません。
外国人へのヘイトスピーチは横行し、労働者は過労や精神の病で死ぬまで働かされ、子供は自殺に追い込まれるほどいじめられ、夏は度外れた酷暑。日本にあこがれて、日本で働きたいと思うフィリピン人は、まだ多いけれど、それは実情を知らないだけ。知っていれば、誰がこんな国に移住したいと望むでしょう。
おそらく今、政府が新しい移民政策を打ち出したくても、歪んだ民族主義的な主張を感情的に叫ぶ人たちが怖くて、有効な手立ては講じられない。それでも労働力の不足は容赦なく進むでしょうし、年金や健康保険も維持できなくなる。そうなってから慌てて移民への門戸を開いても、貧困国になった日本には誰も見向きもしない。これが私が想像する、最悪のシナリオです。
お前は日本を捨ててフィリピンに逃げたから、そんな他人事のように書けるんだ、と言われるかも知れません。しかし私は、日本の年金システムを維持するため、30年近くに渡って、相当な金額を支払ってきた者の一人。
65歳を過ぎて、いざ年金受給の権利を行使しようとなって年金破綻になれば、老後の死活問題。自分のことだけではなく、不幸になってほしくない家族・親戚、友達も大勢日本に住んでいます。
今日は怒りにまかせて書き始めたものの、途中から何とも救いのない投稿になってしまいました。
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