2017年11月11日土曜日

9万ペソの愛犬アイボ



前回投稿の11月8日「いいおっぱいの日」の続きではありませんが、11月1日は、「わんわんわんの日」だったんだそうです。この日付に合わせて、ソニーがロボット犬アイボの販売再開を発表しました。そして今日11月11日「わんわんわんわんの日」に、予約受付開始。さらに来年1月11日、再びの「わんわんわんの日」(くどい!)に、販売開始の予定。


最初のアイボが世に出たのが1999年。もっと最近だったと思ったら、18年も経ってたんですね。当時は、工業デザイナーだった私。デザイン事務所を経営していた友達や知り合いは、「研究用」と称してこぞって購入。自分で買うほどの勢いがなかったので、よく仕事のふりをしながら、アイボと遊ぶために飼い主のオフィスにお邪魔したものです。

前回も、サラリーマンが衝動買いするには、やや高価すぎる値段でした。新しいアイボも同様で、19万8千円。書くだけ野暮ながら、我が家の飼い犬ゴマはタダ。それでも、庭がなかったり、動物を飼うには狭すぎる住宅事情、さらには平日の昼間は誰も在宅しない家庭が多いことなど、日本の状況を考慮すれば、一部のマニアックな層だけでなく、ある一定の需要があるのは理解できます。

人間型のロボットでは、やはりホンダのアシモが、いまでも鮮明な印象。ややぎこちない部分はあるものの、中に人間の子供が入ってるんじゃないかとさえ思えました。

その後、人間や生き物の動きを、驚くべき精度で再現するロボットが、玩具や軍事などいろんな分野で現れるようになったのは、ご存知の通り。学生時代に、どこかの大学教授の講演で耳にした「コンピューターやロボットの究極の目標は、人間の完全なコピーを作ること」という言葉を思い出します。当時は遠い未来の話だと思っていたのが、ひょっとすると私が生きている間に実現しそうな雰囲気。


動きよりも、感触も含めた外見が一番の難問だろうと予想してたら、そっちの方面もとんでもない進歩。特にラブドールと呼ばれるセックス人形は、とっくに一線を越えてしまったようです。女性ヌード写真の大家、私の世代では「激写」で有名な篠山紀信さんが、ラブドールの写真集を出しているぐらい。ダッチワイフと呼ぶのも憚れるレベルの、賞賛に値する造形の完成度。

さて、これをフィリピンに置き換えて考えてみましょう。まずアイボ。私には、ロボットオタクか、大金持ちが見栄で子供に買い与えるぐらいしか、ユーザーの姿が想像できません。特にここネグロスでは、庭がなくても家の前で放し飼いにしても大丈夫。また、大家族だったりメイドさんがいたりで、ペットの世話係には事欠かない。我が家の場合は、300平米の裏庭で、仔犬遊ばせ放題。

そして人間型のロボット。こちらもまだ完全実用化は無理でも、家事や介護用途での、商品レベルの研究が進んでいます。人工知能(AI)の開発と相まって、民生市場で普及するのは、もうすぐでしょう。ところがメイド、介護士、運転手、どれも人間を雇った方がはるかに安いフィリピン。

それも半端ではない安さ。例えば我が家の住み込みメイドのネルジーが、一月の給金3000ペソ(約7000円)。これではロボットへの置き換えを、考える気にもなりません。同列に書くとお叱りを受けそうですが、セックスワーカーにしても同様です。

やはり、犬一頭に20万円(約9万ペソ)も払うのは、フィリピンではちょっと難しい。もちろん本物の犬が欲しいだけではなく、それ以外の部分にも価値があるのは理解しています。しかしソニーの謳い文句が「愛らしさ」「寄り添い」「関係性の醸成」というのを見ると、それはまさに動物を飼い育てて得られるのと同じ。

私が思う相違点は、ロボットが対象ならば、生命に対する責任がまったく生じないこと。これはオーナーがどう感じるかとは別問題。極論すれば、飽きたらいつでも捨ててしまえることだけが、少なくとも現在のところの、ロボットで代替することの最大のメリットじゃないでしょうか。

そう考えると、日本でアイボの復活が大々的に報道され、その内容がほぼ歓迎ムードなのは、少々複雑な気分にさせられます。


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