今回訪日の目玉は、マニラ地下鉄建設に向けての約1045億円の円借款もさることながら、マスコミ受けしたのは、何と言っても天皇皇后両陛下との会見。昨年(2016年)にも予定されていたのが、三笠宮さま急逝のため、直前中止になっていました。
ドゥテルテ大統領と言えば、就任早々、当時のオバマ米大統領を「娼婦の息子」呼ばわり。最近では、EU(欧州連合)加盟国の在フィリピン大使を追い出すと脅迫。極め付けは、カトリック大国の国家元首の立場なのに、フランシスコ・ローマ法皇にまで悪態をつく始末。
何の後ろ盾もなく、破壊的なまでの行動力と、民衆の支持だけで大統領になったドゥテルテらしく、権力や権威に対しては過剰なほど敵対心剥き出しの態度を貫いてきました。そんなアウトローが、日本の皇室にはずいぶんと敬意を払っているようです。
スペイン以前のフィリピンは、島や地域毎に王が君臨していたそうです。冒険家にして侵略者だったマゼランを殺害し、一時的にせよスペインを撃退したラプラプも、そんな王の一人。ただ、高温多湿で元々遺物が残りにくい場所だったことに加えて、征服者のスペイン人が徹底的にイスラム文化を破壊したために、16世紀以前のことは、よく分からなくなってしまいました。
ロシアやフランスが国民の手で皇帝や国王を排除したのとは異なり、他国に奪われたフィリピン。そんな歴史的な背景があるので、同じアジアで、今も王室を持っている国に対しては、羨ましいと思う気持ちがあるらしい。これは、家内やその親戚、友達と話しをしていて、天皇の話題が出る度に、私が感じることです。
それに加えて今上天皇は、かつての激戦地に足を運ばれ、日本人だけでなく、その地で犠牲になったすべての人々の慰霊に勤められています。フィリピンにも昨年1月にお越しになったばかり。単に天皇だというだけではなく、会う人をして居を正しめるのは、陛下のお人柄によるところが大きかったのかも知れません。
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