2017年11月5日日曜日

金払えフィリピン航空



フィリピンのナショナル・フラッグ・キャリア、フィリピン航空(Phiippines Air Lines 通称PAL)が受難です。と言っても自業自得というか、自爆というか。ちょっと考えられないことに、1970年代のマルコス大統領時代から、マニラ空港のターミナル使用料が未納だったことが発覚。その額72億ペソ。(約160億円)

マルコス治世下の超金権・癒着体質の頃はいざ知らず、革命が起こった1986年からでもすでに30年。払わない方もすごいけど、それが見過ごされてきたのもすごい。フィリピン航空のオーナー、ルシオ・タン氏は、中国系フィリピン人。同じく中国系で、フィリピン最大の財閥コファンコ・ファミリー出身のコラソン・アキノ氏を母に持つ、前大統領ベニグノ・アキノ3世と友達だからと、家内は澄まし顔で教えてくれました。

いや、そういう問題じゃないでしょう。ところがフィリピンの政・財界では、そういう問題が重要。本当にこの国は、つくづく法治国家ではなく人治国家。お金と有力な友達の有無で、なんでも好きなことができる側になれば、生涯搾取される側にもなる。こういう話を聞いた時は、さすがにフィリピンという国が嫌になります。

ウィッキペディアによると、PALは1941年創業で、アジアでは最古参の航空会社。その後も1947年にアジア初のヨーロッパ(マドリード)乗り入れを果たし、1967年には同社の社長が、アジア人初の国際航空運送協会(IATA International Air Transport Association)の会長に就任。昔は、輝かしい歴史を誇る名門でした

昨年の選挙で、誰か他の候補者が大統領になっていれば、ひょっとすると今でも、ターミナル使用料未納は国民に知られないままだったかも。PALにとっては運悪く、選ばれたのはドゥテルテ氏。即刻耳を揃えて支払わないと、現在PALが独占的に使用している、第2ターミナルを閉鎖すると、ドゥテルテ大統領から警告を受けてしまいました。

本当に閉鎖されたら、困るのはPALよりも利用者なんでしょうけど、これはPALの常連客である私も仕方ないと思いました。結局PAL側も抵抗は無理と悟ったようで、交渉の末60億ペソを支払うことで合意。そして先日の11月3日、支払いが完了。

PALは1990年代、一時経営危機に。その後なんとか持ち直したものの、最近では後発のセブ・パシフィックに年間乗客数で追い抜かれ、さらにこの60億ペソが追い打ちをかける格好。

日本航空も実質的な経営破綻を経験してから、ずいぶん経営内容が良くなったと聞きます。多くの日本の主要都市との間に路線を持つフィリピン航空。日本〜フィリピンを行き来する身としては、これを機にJAL同様に頑張ってもらい、もうちょっと料金を安くしてほしいものです。


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