今年も11月1日、万聖節(All Saints Day)が巡ってきました。昨夜は、相変わらず渋谷で終夜の仮装馬鹿騒ぎがあったそうで、これまた相変わらず翌朝のゴミの映像と、ボランティアの清掃活動の様子がネットにアップされています。
このブログで毎年書いているように、ハロウィンとは万聖節の宵祭り。ハロウィンがメインではなく、飽くまでも前座。でも日本で仮装に興じた人たちは、ほとんど翌日の万聖節の意味なんて、考えたこともないでしょう。カトリック信徒としては苦々しい思い。これはクリスマスイヴだけデートして、クリスマス当日に教会に行くでもなく、お祈りをするでもないのと同様、日本人の不思議なメンタリティの一部。まぁ仕方ないことだと諦めてます。
万聖節はちょっと古めかしい呼称で、現在日本のカトリック教会では、諸聖人の日という訳語が使われています。元々は、すべての聖人と殉教者を記念する日。そして翌日は万霊節。こちらは死者の日で、亡くなった人を偲ぶ。ここから転じてフィリピンでは、万聖節は死者の魂が故郷に戻る日とされ、日本のお盆と似て、帰省してお墓まいりするのが習わし。帰省ラッシュも起こります。
カトリックとは関係なかったハロウィンの仮装も、アメリカの影響を受けて、ここ最近はフィリピンでもずいぶんと派手に。もちろん大人が飲酒して騒ぐのではなく、子供たちのための行事。今年はたまたま、家内の友人を隣街バコロドのフェリー乗り場に送って行っての帰り、立ち寄ったショッピングモールで仮装大会が開催中。地方都市バコロドでも、ここまで大規模な催し物があるんですね。ちょっとびっくり。
さてその後は、家内の祖父母と今年6月に亡くなった叔父の眠る墓地へお参り。万聖節当日ではないので、それほどの混雑はなかったものの、やっぱり家族連れがちらほら。仮設のテントが張られている墓地も目につきました。これは、万聖節に故人の縁者が夜を徹して墓前に集うための準備。雨季なので、こういう備えも必要です。
そして、なぜか小瓶に入った塗料と絵筆を持った子供やオッちゃんたちも。これは、経年変化で薄れてしまった墓銘の描き直しサービス。レリーフ状に彫琢された文字に、墨入れをしてくれるわけです。最初は物乞いの類かと思ってしまいました。それにしても、どこにでも商売のチャンスはあるものですね。料金は100ペソ(約220円)。
もちろん日本でもお盆の時期は、人の移動が活発になるけれど、どちらかと言うと行楽シーズン。必ずしもみんなが墓参りするとは限らないし、ましてや墓場で夜明かしして、食べたり飲んだりする習慣はありません。
何かとお祭り騒ぎが好きなフィリピン人。この万聖節だけは異質で、少なくとも私たちの住むシライでは、花火を打ち上げたり、ディスコやカラオケは封印。この日の夜だけは、ろうそくの明かりの下で、静かに死者と向き合うのです。
我が家の祭壇にもろうそくが灯されました
写真は、義母と家内の友人、私の祖父母
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