2017年11月7日火曜日

マニラ鉄道保守契約の解除



韓国大っ嫌いな連中は、たぶんこの記事を読んで大喜びの大笑いでしょう。昨日、2017年11月6日、フィリピン運輸省は、2016年1月から3カ年の予定だった、韓国系のプサン・ユニバーサル・レール(BURI)との、マニラ高架鉄道(MRT)3号線の保守契約を解除したと発表しました。

だいぶ前から、車両から発火したり脱線したりで、騒ぎになっていたこの問題。運輸省からはBURIに、改善を求めて警告を出していたそうですが、満足な回答がなかったらしく、とうとう契約解除という事態に。

韓国憎しでざまぁ見ろというのは、馬鹿な野次馬のリアクション。完全に思考停止ですね。フィリピン国民の立場になって考えたら、これはちっとも喜ぶような話ではありません。

なぜこんなことになったんでしょう。記事を読んでみると、日々の点検だけでなく、車両のオーバーホールや信号システムの交換など、全面的に任せていた様子。契約を結ぶ前に、ちゃんとした調査をしなかったのかと、訝しんでしまいます。

最大の責任はBURI側に。しかし去年(2016年)だけで、運行途中の車両から乗客を降ろす必要のあるトラブルが586件もあったというのは、そもそも鉄道の保守能力がなかったとしか思えない業者を選定している。それを決めたのは、フィリピン運輸省の役人のはず。頼んでみたけどダメでした、では許されない。

フィリピンでよくあるのが、有能かどうか、コストパフォーマンスが良いかどうかではなく、選定権を持つ人物に、賄賂を多く払うかどうかで物事が決まるケース。例えば、スーパーマーケットに陳列する商品を選ぶ際に、メーカーからの賄賂を要求。その多寡によって、入荷の度にコロコロ内容が変わり、気に入ったブランドがあっても、継続的に使い続けることが難しかったりします。

フィリピン社会の宿痾と言うべき贈収賄体質。MRTの保守業者を選ぶ時にも、決め手は賄賂だったのかも知れません。そうとでも考えないと、あまりに多すぎるトラブル数の説明がつかない。

契約解除の発表時に、当然後任が決まってるのかと思ったら、それもまだ。運輸省は無責任に過ぎる。保守業務の空白ができてしまって、深刻な事故でも起こしたらと思うと、マニラに行く機会があっても、恐ろしくてMRTには乗れません。役人の無能ぶりのしわ寄せは、結局すべて庶民へ。

契約額は約38億ペソ(約84億円)。1年2ヶ月を残しての契約解除で、いくらかの返金あるのかどうかは、記事には書かれていません。新規に保守会社を探すにしても、財源の目処は立ってるんでしょうか?

日系の業者に依頼すればと言ってる人もいるけれど、もしそうしたら、BURIより相当高くつきそうです。だいたいこの問題の本質は、保守業者の国籍ではありません。フィリピンの役人たちが、国民から預かった税金の投入先を、真面目に調査してるのかどうか。そこが改善されない限り、何度でも失敗を繰り返すのは明らか。

そして心配なのが、日本からの円借款で建設予定のマニラ地下鉄。作るのも難しいけれど、運用はもっと難しい。こっちは日本人の税金をつぎ込むんだから、安心して利用出来る交通機関になってほしい。本当に大丈夫かなぁ?


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