2017年11月14日火曜日
関西人フィリピンに憚る
我が家には時々、20代の若いお客さんが日本から来てくれます。NGOの仕事やボランティアだったり、英語留学だったり。このブログを読んで、わざわざ連絡を頂くことも、最近は珍しくなくなりました。
よくあるのが、実際に私に会ってみて、想像したよりもかなりキツい訛りの関西弁を喋ることに、ちょっと驚くというパターン。このブログのサブタイトルに「ネグロス島に家族で移住した、関西人のつぶやき」って書いてあるんですけどね。
確かに、たまに文章の中で関西っぽい言い回しを使うぐらいで、通常は、方言で書いたりはしてません。もし全文関西弁にしようとしたら、かな漢変換がものすごく面倒になるし、第一、読みにくくて仕方がない。上方落語の書き起こしをしているわけではないので、標準的な文体で書くのは、まぁ、当たり前。
しかし、日常生活の私は、紛うことない方言生活者。父が東大阪(河内)で、母が大阪市の都島区(摂津)の出。そして私の生まれ育ちが、お笑いの「ダウンタウン 松本・浜田」で有名になった、兵庫県の尼崎。サラブレッドと言ってもいいぐらい高濃度の関西弁ネイティブ・スピーカーです。
関西出身者にわりと多いのが、東京へ行こうが、関西以外の人たちに囲まれようが、まったく喋り方を変えない人。全部がそうというわけでもないし、別に頑なにイントネーションを守っているわけでもない。単に面倒なだけ。永年にわたる吉本興業の努力の成果で、どこへ行ってもだいたい通じるし。
実は私、30年ほど前に社会人になり、東京出張をする時には努めて訛りを抑えて、少なくともビジネスの場では、聞かれるまで出身地がバレないぐらいに頑張ってました。ところがある日、たまたま同席した同郷の先輩から「気持ち悪いから、普通に喋れ」と指摘されてしまった。日頃、関西弁丸出しで喋っているのを知っている人からすると、やっぱり強烈に不自然だったらしい。
それ以来、すっかりどうでもよくなってしまい、どこへ行っても自然体。すると、英会話の先生には「君の英語は関西訛りだ」と言われるし、横浜に住んでいる頃は、趣味の声楽で、ラテン語なのに「歌まで関西弁ですね」と驚かれる始末。一体どんだけ、骨絡みやねん。
その後、フィリピン人の家内と一緒になり、最初は英語で会話してたけど、家内の日本語レベル向上と共に、家庭内標準語は関西弁に。ネグロスに移住後も、今更フィリピノ語やイロンゴ語(西ネグロスの母語)を覚えるのも無理がある。英語はどんどん錆びつき、ハリー・ポッターを原書で読む小学生の息子には、遠の昔に追い抜かれてしまいました。
ということで、尼崎から3000km離れたネグロスの地でも、家族や、日本人とのコミュニケーションは関西弁を貫いているわけです。もう50代も半ばを過ぎ、若い女性が来たからと、体裁をする気もありません。
ところが意外にも、私の喋り、それほど嫌がられているわけでもなさそう。中には私の関西弁が好きだと言ってくれる、殊勝な若者もいました。話半分でも嬉しい。そして、複数の人からは、フィリピンには関西の人が多いですね、とのご意見。
え、そうですかぃ?
数えたわけではないけど、そんなに多いとは思えないなぁ。推測するに、関西弁というオブラートに包みながらも、思ったことをストレートに言う人が多く、ボケ・ツッコミ・オチがないと、会話ではないと言うぐらい、サービス精神が旺盛。一人に会っただけで、数人分ぐらいのインパクトを残すから、なんだかたくさんという印象になるのかも。
この関西的メンタリティは、ひょっとすると世界スタンダードに近いのではないか、というのが私の仮説。好きなことは好き、嫌なものは嫌とはっきり伝えるのは、会話の基本。相手が誰であっても、ユーモアは意思疎通の潤滑油になる。私など、日本でより、海外出張の方がよっぽど仕事がしやすかった。なぜなら、何を要求しているのか、ちゃんと分かるように言ってくれるから。言葉の裏を探ったり、空気を読む、みたいな面倒臭いことは皆無。
そういうわけで、日本から飛び出してフィリピンに住み着いた関西人は、居心地がよくて、さらに関西濃度が上がるような気がします。さしずめ、関西人フィリピンに憚る、と言ったところでしょうか。
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10年くらい前でしょうか、『探偵ナイトスクープ』で、「尼崎の人は、どこから来たか、どこに住んでいるか、を聞かれたら『アマですわ。』と答える。」という調査(探偵は北野誠)ありました。
返信削除80%くらいの人たちが「アマから。」とか、「アマです。」と答えていました。
Xavierさんも、どこから来たかと聞かれたら、「アマから。」と答えていましたか?
私は地名を省略して呼ぶのは京浜地域くらいだろうと思っていましたが、他の地域にもあって驚いたことを覚えています。
相手が関西在住か、関西についてある程度の知識があり、尼崎の名前だけでも知っている人ならば、「アマ」と答えるでしょうね。ただし、かなりフランクな言い方なので、時と場所はわきまえますが。(笑)
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