国境を越えての移住は、一生のうちに一回あるかどうか。それだけでも初めての経験だらけですが、さらに異郷の地で自宅を建設。今日で着工から二週間経過。毎日驚きの連続です。
最初が地鎮祭。日本では神主さん呼んで来て、祝詞を上げたりしてもらうでしょう。カトリックの国、フィリピンでは、てっきり神父さんが来るのかと思ったら、それは完成後の「祝福」。 始める時は、生きた鶏を二羽買って来ます。(それが普通に店で売ってるのも、フィリピンらしいですが)
草刈りも終えて、きれいになった建設予定地に、施主に大工、設計者が集まっているところで、この二羽の首をチョ〜ンと刎ねる。そして、切り口から敷地に血をまき散らす。なかなかグロな風景ですが、これで土地の精霊を騒がせることへの謝罪になるそうです。
要するに生け贄ですね。なかなか土俗的というか、呪術的。
でも、やっぱりキリスト教が、ちょっと入っていて、儀式の最後に土地の真ん中あたりに、お手製の十字架を据えました。因みにこれは、大工さんの仕事の一つで、神父さんも呪術師も来ませんでした。
この生け贄は、着工初日のみんなの昼ご飯になりました。ちょっと固かったけど…。
最初の数日は、掘り方で、監督の父が日本から持って来た機材やら紐やらで、地面に印を付け、それに沿って総掛かりの土方作業が始まりました。さて、その間に施主、つまり、私と家内は何をするかと言いますと、建材の買い付けに走るのです。これが家を建てるに当たって、日本との一番大きな違いかも知れません。
翌日以降の作業内容を父から聞いて、リストに材料の種類と数量を書き出します。そのメモを持って、銀行で現金を下ろして、それぞれの素材を扱う店に行きます。最初は、購入した材料を置く資材置き場作りの材料の、ベニヤ板や角材。次にセメントや土砂を立方メートル単位で買います。そして、鉄筋。生まれて初めて鉄筋を自分で買いました。支払いはすべて現金のみです。
発注が朝一ならば、その日のうちにトラックに積んで、持って来てくれます。驚いたのは鉄筋。量が多いと、トラックですが、在庫がなくて小出しに運搬するには、トライシクルという、三輪バイクタクシーに6メートルの長さをそのまま積んできます。曲がる時とか、他の車や歩行者にぶっつけないんでしょうか? 危ないなぁ。
この買い付け作業、地元出身の家内の助けがないと、とても無理だったでしょう。
現地の言葉イロンゴ語(標準語のタガログとはまた別の言葉)で丁々発止、値下げ交渉もこなします。はっきり言って、私はただのドライバーですね。
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