2014年11月2日日曜日

油断する野良犬

初めて仕事で東南アジアを訪れたのは、1995年のことでしたので、かれこれ20年近く前になります。マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイそしてなぜかインドまで含めて6カ国歴訪1ヶ月の旅。かなりハードな業務出張。

その時、どの国も野良犬が多いなぁと気づきました。現地駐在の先輩社員曰く、東南アジアの野良犬は哲学的な顔をしてる。言われてみると、痩せ細っていてなんとなく物思いにふけっているような表情ばかり。シンガポールは少し別格としても、まだまだ貧困層が多い国々。食うに困る人間が多いと、犬にまでしわ寄せがいくらしいと、妙に感心したのを覚えています。

月日は流れて、20年前は想像もしていなかったフィリピン暮らし。相変わらず野良犬は多く、自宅の周囲にもいっぱいいて、犬の姿を見かけない日はないぐらい。でも昔に比べると、ちょっと様子が変わってます。どいつもこいつも、変に満ち足りた顔をして、表情が弛緩しとる。よく見ると痩せて肋骨が浮き出たようなのは、一匹もいません。これはどうしたのかいな?



人間の貧困層が多いのは、それほど改善されてはいないはずですが、社会全体の景気がよくなると、残飯が多く出るからでしょうか。哲学的どころか、路上には幸せそうに昼寝している犬ばかり。これは、私が住んでいる地域だけ? まぁ年中暑いので、犬でなくても昼間眠くなるのは分かります。こちらでは放し飼いが多いので、何割かは飼い犬らしく、首輪つけてるのがチラホラ。

ほぼ毎日、近所を自転車で漕いで周っていると、この油断しきった犬が危なくて仕方がありません。道の真ん中であろうが、どこであろうが所構わず寝そべっている。目が合っても逃げない。本当にハネてしまったこともあります。ギャンギャン鳴きながら一目散に逃げて行ったので、たいした怪我はしてなさそうでしたが。

残飯を漁るだけでなく、よく野良犬に餌をやっている人を見るので、人間を恐れなくなっているようですね。ただ、警戒心が薄れているせいか、車に轢かれてるのをよく見ます。でもほとんどすぐに死骸は始末されてしまいます。役所が片付けるのではなく、食うに困った人間の「晩ご飯」になっているそうな...。


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