2018年6月9日土曜日

フィリピンに不向きな駐在妻


少し前に投稿した、海外駐在員の帯同家族としてフィリピンに住む、日本人配偶者の就労について。SNSでシェアしたところ、いろんなコメントを頂戴しました。

社員を送り出している会社のリスクを考えれば、配偶者の就労禁止も止むなし。側から見れば楽に見えても、駐在妻は重労働の日々なので、とても就職なんて無理。そもそも就労ビザを取るのがたいへん。とは言え会社も、もう少し柔軟な対応をしてもいいのでは。などなど...。

それぞれ、ご自身の体験や、直接見聞きした話を元にした意見なので、どれも否定しようとは思いません。それよりも気になったのが、海外暮らしなど全然したいと思っていなかったのに、会社の都合や夫の希望で、仕方なくフィリピンに来てしまったという人もいる、というご意見。

当然そういう人だっているはず。むしろ日本人のほとんどは、短期間の海外旅行ならともかく、何年も日本の外で生活したいと思ってはいないでしょう。私にしても、ここネグロス島のシライは、とても性に合っているけれど、例えば、インドや中近東へ行けと言われれば、断固拒否すること間違いなし。

それどころか、同じフィリピン国内でも、マニラやセブですら難しい。あんなに人や車が多い場所には、もうとても住めそうにありません。これはマニラ・セブ在住の日本人を見下しているのではないですよ。単に向き・不向きを言っているだけ。マニラ暮らしを楽しんでいる人からすれば、なんでネグロスのような、不便で刺激のない場所がいいのか分からん、となるかも知れません。

それほど、自分の好みに合致した場所に巡り合うのは、容易ではないのだから、たまたま夫が命じられた赴任先に、すんなり順応できるかどうかは難しい話。実は10年ほど昔、まだ私が日本に居た頃、マニラに住む駐在妻の方とSNSで友達になり、相談相手になったことがあります。

小学生ぐらいの子供さんの育児中だったその方は、残念なことにフィリピンでの生活に向いておられなかった。メイドさんとは折り合いがつかず、日本人会での人間関係に悩み。その上、旦那さまは、あまり奥さんの辛さを実感できていないらしく、「考え過ぎ」「もっと気楽に」と言うばかり。

鬱の経験者である私にすれば、精神的にこれほど追い詰められる環境はないだろう、と心配してたところ、案の定、人に会うことも外出することもできなくなってしまいました。その後、音信が途絶えてしまい、今は一体どうされていることやら。

海外で住む場合、気候・食べ物・言葉や文化の違い、どれが合わなくても苦しいもの。特に清潔感のギャップは致命的になりかねない。私が自宅建設時に重要視したのも、水周りをいかに快適にするか。広くて明るく、窓も十分な大きさで換気も楽に。間違えても床が水浸しになったり、臭気がこもったりしないよう、細心の注意を払ったものです。

日本人との付き合いで頭を痛めるのも嫌なので、日本人会にも入らず。そもそも主夫に徹して、働いていないのが大きい。

また忘れてはならないのが、子供のこと。本人は何とか馴染めても、いつまで経っても、お子さんが学校に慣れなかったり、場合によってはいじめられたり。あるいは、現地に溶け込みすぎて、日本語が怪しくなって心配することもあるでしょう。

私は、元々日本に不適合を起こすような人間で、私も家族も、ネグロス島の生活にすっかり順応しております。そのために周到な準備もしました。なので、このブログでは、つい、海外移住が素晴らしく、人生の特効薬のように書いてしまいます。

でもそれは、私個人がそうだというだけのこと。自分の意思ではなく、諸般の事情でフィリピンに住んではみたものの、どうしても我慢できないというのは、その方の責任でも努力不足でもありません。酒を飲めない私が、毎晩無理やり飲みに連れて行かれているようなもの。そんなことを強要されれば、私だってキレるでしょう。

ということで、配偶者の就労を許可する以前の問題で、家族の帯同というのは、なかなか一筋縄ではいかないようです。


0 件のコメント:

コメントを投稿