2018年5月18日金曜日

子供が減る国、増える国


先日、ヤフーニュースで流れてきた記事を読んで、呆れてしまいました。
東京都足立区立中学校で行われた性教育が都議会で「不適切だ」と指摘されたことをめぐり、性教育の在り方が注目を集めている。学習指導要領を超えて避妊や人工妊娠中絶に言及した内容を問題視し「性交渉を助長する可能性がある」と、”行きすぎた性教育”を懸念する声が出る一方、識者らからは「正確な情報は行動を慎重にする」といった意見も。
一体いつの時代の、どんな遅れた国の議論なんでしょう。多くの女の子が小学校の中〜高学年で初潮を迎え、肉体的には妊娠可能になり、誰でもアクセスできるセックスの情報が、ネット上に溢れかえっている現状で、中学生に避妊を教えることのどこが「不適切」なのか、さっぱり分かりません。

だいたい「性交渉を助長」って、大抵の子供は、放っておいてもセックスに関心を持つのが自然な姿。中学生にもなって、男女を問わず、性にまったく無関心という方が心配しなければいけない話。

こういう時代錯誤な御託を並べる政治家がいる傍ら、2015年の産婦人科医会の調べによると、15歳以下の妊娠・出産数はここ40年で増加傾向で、中絶率は85%以上。

また、高校生で妊娠・出産となったら、公立校では3割が自主退学を余儀なくされ、中には学校側からの勧告で、事実上の放校になってしまうケースもある。(文科省の調査による)望まない妊娠を避けるための、正しい知識を教えることはダメ。でも出産したら学校から追い出しますって、酷すぎると思いませんか?

子供が多すぎて困っているとでも言うならともかく、日本は少子化による労働人口減少が危惧されて久しい状況。しかも学校だけでなく職場でも、妊娠・出産による一時休業を、まるで無計画な身勝手のように扱う風潮が、いまだにあると聞きます。ここまで来ると、もう亡国的行為。

私が暮らすフィリピンでも、中・高校生の妊娠は社会問題。シライ市の教育委員会勤務の家内によると、市内の高校でも何件かあるそうです。(ちゃんと役所で把握してるのがすごい)でも学校や市の対応が、日本とずいぶん違う。

妊娠・出産したからと言って、退学させるルールがないのは日本と同様ながら、自主退学した後も、無料の学外教育システムがあって、本人が望むなら学校に通わなくても、授業を受けられる。これは離島住まいで学校に通うのが難しい子供や、受刑者に対しても適用されます。

そもそも、小学校5年生から、きわめて直截的なテキストや図解・写真による性教育が行われいているのは、以前にも「性教育はサイエンス」というタイトルで投稿した通り。今年小6の息子も、女性の生理について、一通りの知識はありますよ。

また少なくとも、ここネグロス島での身近な人たちを見る限り、未婚での出産やシングルマザーに対しての眼差しが、日本に比べるとはるかに優しい。家族や親戚に子供の面倒を見てもらって、お母さんが働くのは珍しいことではありません。無条件に子供が好きな人も多いからなぁ。

日本で子供が減り、フィリピンでは子供だらけの理由がよく分かります。私たち家族が子連れでフィリピンに移住したのもそれが一因。私学に通わせても、学費が桁違いに安いし、国公立大学は今年(2018年)の11月から無料だし。

フィリピンでは、相変わらず貧困層は多く、急激な経済成長の陰にはずいぶん歪な側面があるのも事実。それでも、子供と母親を大事にする姿勢は、見習うべき。高校生シングルマザーの子供が、将来国を背負って立つ人材になるかも知れないんですよ。


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