2018年5月21日月曜日

酒とタバコ

つい先日、ネグロス島に住む在留邦人で、友達付き合いをしていただいている方が、癌治療のために一時帰国されました。フィリピン女性を配偶者に持つ、私と同世代の男性。第2の人生を、ここネグロスでのんびり過ごそうという、私の戦友とも言うべき貴重な存在。それだけにこの話を聞いた時は、相当なショックでした。

中高年になって、住み慣れぬ外国暮らしとなると、誰もが心配になるのが医療と健康の問題。はっきり言って、フィリピンでの医療は、日本のレベルには到底及びません。これは私自身が4年前に、食中毒が原因と思われる激しい下痢と嘔吐、発熱で2泊入院した際の実感。

言葉が通じにくいハンディは別としても、医師や看護師の対応や知識に個人差が大きすぎるし、ネグロスで一番大きな総合病院ですら、設備が旧式。日本で出産経験のある家内が、婦人科で診察を受けた時に、置かれてある機材がまるで骨董品だと驚いたほど。


外観はリニューアルされた
バコロド・リバーサイド病院

それでいて、医療費は日本並みに高額かそれ以上。家内が加入した健康保険(フィルヘルス)でかなりカバーしても、痛い出費でした。目の玉が飛び出るほどの報酬を払って、マニラ辺りの大病院で、名前の知れた医師に診てもらえば、あるいは日本と遜色のないレベルなのかも知れません。それも億万長者でもなければ非現実的。

交通事故、脳内出血や心臓発作など、緊急搬送・即手術を要するような状態ならば、結局地元の医療に身を委ねるしかなく、助かるかどうかは運次第。とは言え、初動対応ですべてが決まってしまう場合は、日本に住んでいても運が悪ければどうしようもないし、あまり頭を悩ませても仕方がない。

ここで考えるべきは、死に至る病の予防でしょう。フィリピンでの疾病による死因ランキングは、1位 心臓疾患、2位 脳卒中、3位 肺炎、4位 糖尿病、5位 結核。肺癌が9位にランクイン。肺炎が上位にあるのは、医療費を払えない貧困層の人たちが、医師に診せず放置した結果、いわゆる「こじらせて」亡くなるケースだと思われます。

また結核は、フィリピンでは無料で治療できる建前が、不治の病との思い込みが広く流布していたり、失職を恐れて周囲に知らせずにいるうちに病状を悪化させ、周囲にも感染を広げる悪循環が原因。

肺炎と結核を除けば、普通の衛生環境で、酒・タバコを控え、バランスの良い食事・適度な運動を心がければ、かなり防げる生活習慣病ばかり。デング熱やアメーバ赤痢などの熱帯特有の感染症が直接原因で亡くなる人は、意外にもそんなに多くないようです。(乳幼児の場合はその限りではありません)

一時帰国した友人は、筋トレや散歩はされていたようで、肥満ではなかったけれど、やっぱり酒とタバコは相当量嗜んでおられました。彼の場合は、偶然別の症状で入院した際に受けた検査で癌が発見され、十分な知識を持ったフィリピン人医師の勧めもあっての一時帰国。かなり辛いとのことですが、見方を変えれば、たいへん幸運だったとも言えます。

フィリピン移住の理由は人それぞれで、中には他に選択の余地ないこともあるでしょう。しかし、自らの意思で敢えてフィリピン暮らしを選んだのなら、何かしら日本に住み続けるよりメリットがあるから。

医療面での不安材料を補って、余りあるものを得られた筈だというのが、私の考え方。そして医療がイマイチ当てにならないなら、病気になったり不慮の怪我をしないよう、日常的に心がけるしか、自分や家族を守る手段はありません。

幸か不幸か、私はもともと酒を飲めない体質で、タバコは30代で縁を切ることができました。(禁煙の話はこちら)何よりもストレスの元になることは、すべて日本に置いてきたし、食事は自炊中心。そこそこ体を動かすことも習慣化。これで早死になら、もう神さまがお決めになった運命。諦めるしかないと思っております。


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