高級住宅地と呼んでも差し支えない、セントフランシス・サブディビジョン。投資目的の土地オーナーが多くて、我が家の周囲はまばらにしか住宅がなく、昼間でも車も人通りも少ない。その割には道路はちゃんと整備されていて、穴ぼこなどないし、空き地からはみ出た雑草も、定期的に刈ってあります。
やや曇ってはいたものの、まだ黄昏にはだいぶ間があって、運転にはまったく支障はなかった時間帯。唯一困ったことに、この辺りは、放し飼いされている家畜が多い。犬猫は言うに及ばず、鶏に水牛、最近は向いのばぁちゃんがヤギ数頭の飼育を始めました。そのうちの1頭をはねてしまったという次第。
飼い始めの頃、ヤギたちは、ちゃんとロープに繋がれていて、空き地内で平和に草を食む毎日。ときどき、んむぇ〜んむぇ〜と、ずいぶんやかましくても、概ね共存できていました。ところが数週間ほど前から、ばぁちゃんが面倒になったのか、それとも逃亡の心配がなくなったからか、ロープはどこにも繋がれない完全放牧状態。
雨の日など、なぜか我が家の門扉の前で雨宿り。やかましいだけでなく、たんまり糞の置き土産をしてくれるので、その都度、箒や竹棒で追い払っていました。これが何度追い払っても、しばらくするとまた戻って来て、糞をぽろぽろ。だんだんヤギ憎しの感情が。
この日は、すっかりずうずうしくなったヤギが、道のど真ん中でお昼寝。日頃の苛立ちがあったので、ちょっと脅かしてやろうと、減速もそこそこに、ぶつかりそうなところまで車を進めました。ところが本当にヤギが驚いたのか、まるで予想と反対側に走り出して、首から引きずったロープを車輪に巻き込んでしまった。
糸巻きを手繰るように、車体に引き寄せられたヤギの頭が、運転席側のドアに「ど〜ん」と鈍い音を立てて衝突。自転車並のスピードだったので、ヤギは無傷。全力でばぁちゃんの家の敷地に「当て逃げ」。
それでも思ったよりヤギの頭は固かった。ドアには凹み。相手はヤギだし、飼い主だからと言って、いつもオカズのお裾分けを頂いて、世話になっているばぁちゃんから、修理費を取り立てるような非人道的な真似はできません。こっちにも非がないわけでもない。私の気持ちは、ドアよりもっと凹みました。
これよりずっとひどい状態で、恥じる様子もなく走っている車はいくらでもいるし、年末年始の何かと物要りの多い時期。しかも車で10分ほどの場所に、トヨタの新しいディーラーがオープン間近。運転に支障はないので、あと数ヶ月で迎える2万キロの点検も含めて、新ディーラー開店を待つことにしました。
それにしても、野良犬や野良猫が多いフィリピン。轢かれてぺちゃんこになった死骸を時々見ますが、あれって轢いた方もダメージがあるんでしょうね。痛い勉強代になった「ヤギ身」事故でした。
牛身事故じゃなくて良かった
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