2018年1月15日月曜日

現代版 読み書きそろばん


フィリピンに移住して、もうすぐ6年目に突入する私たち家族。引っ越した時は小学校1年生だった息子は、今年、6年生になります。こちらでの学校生活にもすっかり慣れたようで、英語だけでなく、地元の方言のイロンゴ語も、そこそこは理解している様子。

息子は日本とフィリピンで1年生を、1回づつやったので、親としての日本の学校経験は、1年間だけ。それ以後は、日本で子育て中のフェイスブック友達の投稿や、ネットの日本語記事を通じての断片的な知識のみ。

それでも時々、日本の教え方に首を傾げたくなることがあります。例えば英語。以前にも少し書いたように、いまだにネイティブの英語教師による本格的な授業はなく、和訳中心。実際の会話を考えると、時間の無駄のような内容。さらに驚くことに、高校では日本史が必須科目ではなくなったそうです。

英語が公用語であるフィリピンの英語教育と比べるのは、公平ではないとしても、中学から習い始めて、高校や大学まで6年から10年かかって、普通に英語でコミュニケーションできる人材が育たない30年前のやり方を、いまだに墨守している。

そして、旅行・仕事を含めて、海外に出る機会が増えた時代にもかかわらず、自国の歴史、とくに明治以降の近代史をきちんと学んでいないのは、ちょっと空恐ろしくなる。道理で、私がこのブログで「太平洋戦争中に日本兵がフィリピンで行った残虐行為は...。」と書くと、「その具体的な証拠を示せ」と、アホなコメントされたりするわけです。

こういう人たちは、ネットに溢れている英文の記事から情報を得ることもせず、日本語のみで書かれた、歪曲・捏造だらけの文章を、そのまま信じ込んだりするんでしょうね。判断材料になる歴史を、体系立てて学んでいないから、フェイクニュース(デマ)がいつの間にか常識だと思われたり。

手前味噌ながら、私がフィリピンの社会や歴史について書く時は、日本語だけでなく、英語やフィリピノ語の記事を必ず確認しています。そうしないと、素人さんのブログはともかく、大手新聞社のサイトでも、すごい勘違い(あるいは意図的な偏向)をしていることがあるから。

それよりも気になるのが、日本語の読解と作文が、どうやらまともに教えられていないこと。若者の読書離れ、活字離れなんて、一部の年寄りが騒いでいますが、実際はネット全盛で、誰もが携帯端末を持つ今こそ、読解と作文が重要なスキル。

でも、その実態は寒気がするほど。プロが書いた新聞記事ですら、時々何を言いたいのか分からないものがあるし、誤字脱字も散見。SNSでのやり取りなんて、本当に酷いものがある。たとえ友達同士の軽いコミュニケーションでも、分かりやすく、誤解されないように書くという、基本中の基本ができていない人がなんと多いことか。よくあるのが、句読点も入れず改行もなしで、延々と長文を書くケース。

はっきり申し上げて、読書感想文なんてどうでもいいから、自分が見聞きした事実を、できるだけ感情を交えずに、分かりやすく、簡潔に文章化する訓練を、小学生の頃からやるべきです。箇条書きでもいいぐらい。母国語で基本が出来ていないのに外国語を詰め込んでも、混乱を招くだけで、コミュニケーション能力は全然身につきません。

そして算数。私の子供の頃から不思議に思っているのが、つるかめ算。なぜ最初から連立方程式を教えないんでしょう。わざわざ分かりにくいやり方を最初に持ってきて、算数嫌いや落ちこぼれを増やしたいのでしょうか。

クイズではないんだから、算数・数学こそ実社会で役に立つことを教えるべき。数Iなんて、近代日本史を必須にする代わりに、選択科目にしてもいいぐらい。つまり、学校卒業後に一番必要になる数字、お金のことを学ぶのがとても重要だと、私は言いたい。

企業勤めが当然で、金勘定は金融の専門家や経理社員に任せておけばいい時代ではありません。ネットがこれだけ普及して、誰でもやる気さえあれば、学生でも起業ができる。そんな時、何がネックになるかと言うと、お金の知識がないこと。

どんな専門職に就いても、どこの国で働いても、金勘定なしでは何もできない。そして日本では、いまだに子供にお金について教えるのは、一種のタブーのような雰囲気。生活の基礎であるお金について、ちゃんと教えないから、会社に入る以外に生きる道はないような錯覚を起こす人が出てくる。三角関数を教えている暇があるなら、簿記や税金の知識をちゃんと身につけさせた方が、よっぽど生きた教育。

要は、読み書きそろばん。現代版なので、手書きをしたり紙に印刷された文字ではなく、パソコンやパッド、スマホ。そして電卓や計算ソフト。漢字の書き取りすら不要なんじゃないかと思うぐらい。書けなくても読めれば、何の不自由もないのに、書き順を重要視するなんて、本末転倒もいいところ。


今日は、フィリピンと日本の小学生の違いについて、ほのぼの路線の投稿にするつもりが、いつの間にか熱が入って、日本の教育改革提言みたいな調子になってしまいました。我ながら、かなりの暴論ですね。


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