2018年1月26日金曜日
小学生の誘拐騒動
移住前に、フィリピン在住の方やネットでの情報で、言われていたのが営利誘拐。金持ちだと思われている日本人やその子息は、誘拐のターゲットにされる危険があるから、徒歩での外出や、パターンの決まった行動は避けるべきだと、よくアドバイスを受けました。
50代半ばの私の世代で、フィリピンの誘拐事件と言うと、若王子さんの名前が思い出されます。これはエドゥサ革命直後の1986年11月、当時の三井物産マニラ支店長だった若王子信行さんが、マニラ郊外のゴルフ場からの帰宅途中、武装した新人民軍(NPA)のメンバー5人に拉致されたという事件。結局三井物産から1000万円もの身代金が支払われ、若王子さんは翌1987年3月に無事解放されました。
では現実のネグロス島、シライ市ではどうかと言うと、強盗やホールドアップの類いは時々耳にしますが、誘拐は、少なくともこの5年間で聞いたことがない。家内に聞いても、シライでは知らないそうです。ただ、ネグロスの山岳地帯には、いまだにNPAの残党が潜伏していて、つい最近も隣街タリサイで、金品目的のアメリカ資本企業の事務所への襲撃事件が。
そしてこのシライ市内で、先日、時ならぬ誘拐騒ぎがありました。私の息子が通う、私立の聖テレシタ学院の向かい、公立のシライ南小学校。我が子を迎えにきたお母さんが、子供がいないとパニック。先生や学校関係者が校内を探しても見つからず、警察に通報。大騒ぎに。
しばらくして、この子の友達の親が、誰にも知らせず自分の子供と一緒に、自宅に連れて帰っていたと分かりました。もちろん誘拐ではありません。しかし同じフィリピン人からも、この親の行動は「アホか?」と言われるレベル。いなくなった子供のお母さんは、生きた心地もしなかったでしょう。本当にお気の毒でした。
この件で一番問題なのは、誰にも知らせず勝手に他人の子供を連れて帰った人でしょうけど、学校のセキュリティにも大問題ありと言わざるを得ません。
シライのような小さな地方都市だと、学校や商店・金融機関の警備員、交通整理の警官の人たちとは、数年も住めばほとんど顔見知り。私にしても、家内の勤務先のDepED(フィリピン教育省)には、顔パス状態。息子の小学校では、車のフロントグラスに貼付する通行章や、メイドさんなど、家族以外でも送迎ができるように、IDを発行しています。でも、よく知っている人なら、いちいちそれを確認しない。
つまり、顔見知りならば事実上のノーチェック。今回のようなことが起こってしまう可能性がある。親の一人としては、なかなか恐ろしい現実。日本の学校のように、規則でがんじがらめにして、子供を囚人のように扱うのは行き過ぎかとも思いますが、いくら平和なシライでも、もう少し厳しくした方が良さそうです。
最後にもっと恐ろしいことを書きますと、新車の自家用車を所有するぐらいの家庭なら、拳銃の1丁ぐらい所持していても不思議ではないフィリピン。つまり銃を持って学校の敷地内に入ることだって、やろうと思えばいくらでもできる。実に恐ろしい...。
【追記】
子供の友達まで連れて帰ってしまったお母さんは、その後、校長先生、担任の先生、学校スタッフ、そして警察官にまで、泣くほど怒られたそうです。こういうところが憎めなくてフィリピンらしい。ちなみに担任の先生は私の義妹にしてこの件について教えてくれたジーナでした。
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