大阪府北部地震では、高槻市内の小学校で倒壊したブロック塀の下敷きになり、9歳の児童が亡くなるという、痛ましい事故が起こってしまいました。先日の地震に限らず、強い揺れがある度に、同様の危険は指摘されていても、数が多すぎて、とても全部をチェックし切れないのが現実なんだろうと思います。
私が体験した阪神淡路大震災では、当時住んでいた兵庫県尼崎の実家の隣家で、高さ2メートル、幅10メートルほどのブロック塀が、バッタンッ!という感じで倒れてました。この道は、最寄りの阪急塚口駅から、園田学園女子短期大学(テニス選手の伊達公子さんの母校)への通学経路。もう2時間ほど遅かったら、学生さんに被害が出ていたかも知れません。
また、ここネグロス島でも、ブロック塀は日本以上に多用。セキュリティの問題もあって、まるで刑務所のような高い壁をぐるりと廻らせた家が多い。そのほとんどがブロック塀。実際に昨年(2017年)1月の大雨では、ミンダナオ島のカガヤン・デ・オロで、14歳の男の子が倒れてきた壁のために亡くなりました。
こうなると、さすがに恐ろしくなってきて、子供にお昼のお弁当を届けた帰り道に、近所を歩いてブロック塀を巡回視察。安全性がどうかという観点で、シライ市内のブロック塀を注意したことはなかったのですが、これほどひどいとは思わなかった。
ネットの情報によると、ヒビが入ったり傾いていたりすると危ないとあった、そのまんまの事例が実に多いこと。ヒビどころか一体何年前からそこにあるのか、もう苔むして表面がボロボロ。地震じゃなくて、私が軽く体当たりしただけでも、ぶっ倒れるんじゃないか。
専門家ではない私でも、強い地震が発生した時に、こんなブロック塀の近くにいないことを祈るばかり。そしてやっぱり心配になるのは、小学校6年生の子供のこと。
写真には撮ってませんが、建て込んだ住宅街になると、幅1メートルほどの路地の両側が、大人の背丈より高いブロック塀、というケースも少なくありません。そんな場所に限って、小さな子供が遊んでたりするんですよね。
マニラ首都圏で、コンドミニアムの高層階に住む日本人の方が、大地震があったらまず助からないだろうと、半ば諦めたように言うのをよく耳にします。しかし、高層建築のないシライであっても、貧しい人が住む地域で、子供を中心に甚大な人的被害が出るであろうことは、想像に難くありません。大地震どころか、震度5程度でも、たいへんなことになりそう。
巡回から自宅のあるサブディビジョンに戻って、改めて周囲を見ると、セキュリティがしっかりしている敷地内では、ブロック塀が少ないことに気づきました。あっても、比較的低めで圧迫感がない。
本来ならどこでも、こうあるべき。台風は日本以上に来るし、島の反対側の東ネグロスで、死者を出した地震があって、まだ10年も経っていません。それでも、経済的に余裕のない家では、相も変わらずブロック塀。貧すれば鈍するとはこういうことかと、ため息が出てしまいます。