2018年3月26日月曜日

ネルジーの妹


我が家の住み込みメイド、ネルジーの実家は、ネグロス島の北部。ここシライからは車でバスで5時間ぐらいかかる山の中の不便な場所なんだそうです。東ネグロス州との州境に近く、言葉はシライで使われているイロンゴではなく、セブアーノ。公用語のタガログは小学校で教えるので、ネルジーは、ちょっと怪しい英語を含めると、4言語を解するクアトロリンガル。

ちゃんと聞いたことはないけれど、ネルジーにはたくさんの兄弟姉妹。すぐ下の妹さんがシライ在住で、ネルジーと同じくメイド業。ところが最近、この妹が転職したそうな。

ネルジーが家内に話したところによると、新しい職場は、2週間前にシライ市内にオープンしたショッピングモールのガイサノ・シティ。フードコート内のソフトクリーム屋さん勤務。そして気になる給料は、1日200ペソ。(約400円)

週1日は休みだとして、月28日勤務で月5,600ペソ(約11,200円)。日本と比べたら、お話にならない安さ。ところが、ネルジーの月給が3,500ペソなんですよ。雇用当初は3,000ペソだったのが、家内の信頼を勝ち得たお陰で、昨年末から値上げしてこの金額。

ただし、住み込みメイドの場合、食費・部屋代・光熱費はすべて雇い主持ち。しかも我が家の場合、来客さえなければ、6畳ほどもある個室で過ごせる。しかもお湯のシャワーはあるし、食事は私が作ってる。他家では考えられないほど快適で、外で勤めるよりお金は貯まるでしょう。

住み込みメイドとウエイトレスやレジ係。どっちがいいのかは、雇い主の態度や職場環境に左右されるので、何とも言えませんが、ネルジー妹の選択を見る限り、ずっと働きたいと思うような家では、なかったんでしょうね。

こういう話を聞くたびに思うのは、これだけ景気がよくなって、商業施設やコンドミニアム(マンション)が建設ラッシュという状況でも、相変わらず最低賃金が超低空飛行だということ。

正直に言うと、ネルジーぐらい真面目で働き者ならば、日本人の私の感覚では、10,000ペソ(約20,000円)ぐらい払ってもいいかと思います。でも雇い主の家内、教育省の出先機関勤務であっても、月2万5千ペソ(約5万円)しか貰っていない。それを考えると、いくらアップしてもせいぜい5,000ペソまで。

ちなみにシライで、メイドで10,000ペソと言うと、よっぽど料理の腕がいいとか、看護士の資格を持っているとかでないと難しい。2年ほど前に、シライで活動していた日本のNGOが、市内の世帯収入を調査したところ、何と半数以上が月収5,000ペソに届いていないという結果でした。

我が家の場合で、家族3人で月の支出30,000ペソ。そんなに贅沢はしなくても、これぐらいにはなりますから、子沢山な家庭で5,000ペソというのは、本当にギリギリもいいところ。ちなみにネグロス島だからこれで済んでますが、マニラ首都圏で同じ生活しようとしたら、倍でも難しいだろうと思います。

ということで、雇用3年目を迎えて、ほとんど家族同然に馴染んだネルジー。妹も、休みの日にはたまに遊びにきたりして、まんざら知らない間柄でもないし、何とか稼げる仕事を見つけて、少しでもいい暮らしができたらと、願わずにはいられません。


毎朝5時半起きで掃除を始めるネルジー


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